その1時間をけずりだせ

2019年05月17日(金) 考えごと

あらい農園にとっての繁忙期とは、絶対に5月じゃないかと痛感しているこの頃です。。

5月というのは気候がちょうど良くて、寒すぎず暑すぎず作業がはかどる暖かさです。しかも日が昇るもの結構早くて、日が落ちるのも遅いので、畑にいられる時間もとっても長いです。

これが真夏とかなら、暑すぎて昼間は3時間くらいは休まな身体がもたない、、てな事になるのですが、今の時期はついつい頑張って働いてしまいます。そして、またやる事が山のようにあるのです。

春の野菜の収穫と同時に、夏野菜の種まきや植え付け、その準備段階として、肥料を撒いたり、トラクターで耕したり、畝を立てたり、マルチや防草シートを張ったり。そこにお米の準備で代かきや田植えが入ってきつつ、畔の草刈りの1回目が始まります。

春というのは、農家にとってもフレッシュな気持ちでいられるもんで、気候も影響してかやる気に満ち溢れていたりします。なので、休憩もそこそこに「オラーっ、行くぜー‼︎」と畑に繰り出したくなります。

たぶん、この感じで過去2回ほど1号(夫)は熱中症になった経験があります!

今年も例に漏れず、気が付けば令和になってから、1日たりとも休んでいません。この前の日誌で、「今年のテーマは 農家の働き方改革だー!」とか言いながら全くな状態です。

おまけに夜は消防団の訓練(査閲という毎年5月にある行事の練習)で、消防ホースを担いで走ったりしていて、、それはそれは完全なブラック農家な5月です。

それでも、今頑張らないと6,7,8月と後悔する事になるので、嫌だとかいう気持ちよりも、「ここが頑張りどきやー!」と更にアクセルを踏むような具合なので、熱中症対策として早くも塩キャンディが欠かせなくなっております。

 

こんな感じでこの時期の農家というのは、忙しくて大変ではあるのですが、そこまで休みたいと思わずに働けているのも、悪くないなぁとも思います。休みたい休みたいと思わずに働けるのは、結構幸せな事ではないかと。

GWに休めないその分、冬に11連休作ってやるからな‼︎というモチベーションです。

 

そんな中で、いかに時間を生み出すかが働き方改革への大事な一歩じゃないかと思いまして、ここは一つ草刈りについて書いてみることにします。

 

草刈りとは、田や畑の周囲の畦道などの草を草刈り機などで刈り取る作業を言います。これがとっても大変で、だいたい春から秋までで同じ所を4,5回は刈っていきます。寒くなると草も成長しなくなるので、それまでは草との戦いです。

そんなに頑張って刈る理由は、歩きにくいとか、景観がイマイチとか、草が種を飛ばすとか虫の住処になるとか色々とあります。

個人的には周囲の目が気になるに1票です。

なんとも田舎的な感じですが、実際そうだから仕方ありません。でも農業をするにはそういう感覚が本当にとても大事だし、そういう風に地域を大事に維持してきたという側面も大いにありますので。

まぁそう思うと、自分の田畑の畔に草が茂り始めると、ソワソワして落ち着きません。それが梅雨とかになると、驚くほどの早さで草たちが大きくなるので、ますます草刈りに追われるという感じです。

 

そこで、最近は忍法「高刈り」をしています。ちょっと専門的になりますが。

要は刈る時に地際から頑張ってキレイに刈らずに、10cmくらいの高さでサーッと刈る感じです。バリカンで0.5mmの坊主じゃなくて、丸刈りにするみたいな感じです。

この高刈りが何かと言うと、

畔の草には背の高くなるイネ科とかの草もあれば、背の低い地を這うように広がるクローバーみたいな草も色々います。高く刈る事で、簡単に言うと背の高い草だけを刈って低いのは程々に残るようになります。

程々に残った低い草たちがますます元気に広がってくれれば、短く刈られた高い草たちが低い草に覆われてしまい、光合成もできず大きくなれない!そしてやがて背の低い草ばかりになるというイメージです。

背の低い草が多くなると、見た感じにそれ程茂ってない感じになります。

そしたら草刈りの回数も減らせるんじゃないか、、という作戦です!

 

更に、高刈りはサーッと刈るので、これまでのように丁寧にきれいに刈るのよりも1/3くらいの時間で済むし、刃も磨耗しないのです。

時間も少なくて、更に回数も少なくなるなんて、これを忍法と言わずして何という‼︎

 

そんな高刈りをしていると、刈った後に残っている低い草たちがかわいく見えてくる始末です。笑

「君たちこれから頑張りたまえ!」って感じに。

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ほう、これが草を生かすという事か。。。

と、なんだか農家として一段階レベルが上がったような気になりました。

 

高刈り、、、今年のうちの流行語にノミネートです。

あとは「その1秒をけずりだせ」も同じく最近のトレンドです。箱根駅伝でお馴染みの東洋大学のスローガンですが、農家もこの繁忙期の中で1秒は言い過ぎですが、1時間を削り出す努力が必要だなと思って、最近そう思いながら高刈りをして、なんかいい感じじゃね?とか思っております。

 

まだまだ先は長いですが、冬の11連休を目指してマラソンのごとく頑張っていこうと思います!


8年目の豊富は、「働き方改革」でしょうか。

2019年04月25日(木) 考えごと

すっかり春も中盤に差し掛かり、そろそろ夏の足跡も聴こえてきそうな季節になりました。

早いもので、はな(あらい農園3号)が生まれてから、もうじき3ヶ月になろうとしていますが、すくすくと元気に育ってくれています。
子が生まれた慌ただしさを言い訳に、またもや農園日誌の更新をずっとしていなかったのですが、ようやく書くことができました。

自分(1号)の中では毎年恒例のつもりなのですが、この4月をもってあらい農園が満7歳になりました!を記念する日誌になります。

毎年この時期になると、過去の日誌を読んでは、以前考えていたことを思い出しては、今の現状と比べたりしていて、どちらかと言うと自分の思い出アルバムの要素も強くなっていたりもします。(そして、似たようなことを書いていたりもします。笑)

 

丸7年が経過したわけですが、とにかく去年は台風や豪雨の影響もありつつ、自分たちの努力不足もあって、数字的には良くない1年になりました。

機械もこれでもかと故障が続出し、いまだにその敗戦処理に追われてる始末です。。

農業をやっているからには、気候のせいにしているようでは全然ダメダメですので、まぁただの力不足という事でしょう。
機械だって、自分で直せるのがお金も掛からないし、なによりもカッコいいとか思って、頑張ってエンジンをばらしたりと奮闘しておりましたが、結局何時間も掛けた挙句直らずに最後は農機屋さんにお金を掛けてお願いをする始末に。
少しは知識や経験は身についたので、自分としてはレベルアップができたとは思うのですが、農業経営という意味では、最初から外注に出した方が良かったんじゃないか、、、とか思います。

まぁでも誰に褒められるわけでもなく、自分としてはエンジンとかバラして、2つの壊れた機械の大丈夫な部品同士を組み合わせて1つの機械に仕上げるとかが出来れば良いなと思うので、まぁ半分趣味としての時間だったとポジティブに考えましょう!笑

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そのような趣味的な時間をどれだけ確保できるかは、これからの自分たちの農業において、よく考えなあかんなぁと最近思ったりしています。

というのも、これから8年目を過ごすにあたって、あらい農園でも働き方改革をちょっとずつしていければなぁと思っていまして、まぁ世間と同じくいかに労働時間を減らして、幸せに過ごすかという事を考えようかというところです。

 

3号が生まれてからというもの、実は畑に出て農作業をする時間は少なくなっています。生まれる前は、子どもが出来た事できっとこれまで以上にバリバリ働いて、自分のエンジンの馬力もアップするのかな、とか思っていましたが正直なところそんな事はありませんでした。

気持ち的にはすごく充実してはいますが、労働時間は例年に比べると減っています。

あらい農園のような夫婦一緒の自営業の働き方は、当然子育てに関しても夫の関わる時間は増えるものですので、そう思って最近は過ごしています。
本音のところは、思っていたような朝から晩までバリバリと働くスタイルになりたいと思いつつ、我が子の様子をゆっくり眺めながら日々を送りたいという気持ちもあって、そう意味ではわりと忙しいです。笑

そうなると農作業の進み具合が思わしくなくなってくるのが、最近というかこれからの課題になります。

働き方改革で、労働時間を減らすのはいいのですが、自営業の場合はそれが売上・利益に直結して減ってしまうのは考えものですので、そのあたりをいかに確保しつつ、労働時間を減らせるのかを、家族構成が変化したこの機会に、しっかり考えて実行していけたらなと思っています。

 

欧米的な、家族との時間が最優先でそのための仕事というスタンスを、農業をしながらでも構築していきたいです。少なくとも子どもが小さいうちは。もちろんお金は必要ですが、そこまでの贅沢願望もないので。今時の若者っぽいですね。笑   もう33歳ですが。

33歳の働き盛りの男性として良いのか悪いのかはわかりませんが、何かこう「ひと旗上げたい!」というギラギラしたものが薄れて、それよりも我が子が健やかに育ってくれさえすればそれでいい、という草食動物感が増してきています。野菜ばっかり食べているからでしょうか。。

 

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1年後に、今年の働き方がどう結果に出るのかわかりませんが、どうもこの8年目はこんな具合の働き方になりそうです。

 

話は変わりますが、

そう言えば3号が生まれてからというもの、これまで夫婦2人で畑に出る事が多かったのですが、今は一人で作業をする事がかなり増えました。

とてもやる気はあるのですが、それでも長時間働いたり、重労働だったりすると体力がなくなってきて、最後は自分との戦いみたいになってきます。

3号が生まれる前は、そんな時には子どもの顔を思い出してまた頑張るのだろうなと思っていましたが、それよりもよく出てくるのは昔の自分です。

27歳のまだ農家2年目で、農業で食べていく気持ちはあったけど、方法がわからず糸口も掴めずで、モヤモヤうじうじしていた頃の自分が出てくるのです。

その27歳の僕が今の自分に「今のこの環境で、頑張らへんとかありえへんで」と冷たく言ってきます。笑

そして僕は「そやな、、、。」ってなります。

 

なんで冷たく言ってるかというと、当時の僕の心が完全に冷え切っていて、農家としての環境が整っている人に対して、羨みと妬みと悔しさが入り混じった目で見ていたからです。

状況としては、まだ伏見にいた2年目の夏に市場出荷用のナス(当時の収益の柱)が自分だけ大不作になってしまい、そこで完全にお金が底を付き、仕方なくヤマト運輸のアルバイトに行っていました。夕方16時から22時まで倉庫で荷物の仕分けをして、頑張ったご褒美にいつも1号線の久御山にあるラーメン横綱で夜食を食べながら、自分の現状を嘆いていたあの頃。

倉庫でよくわからん契約社員っぽい奴に偉そうに指示されて、ムカつきながらこれでもかと全力で荷物を仕分けたりしていたわけです。「バイトやけど、農業で食えてない奴が、ここでも手抜いたら人生終わるわ」みたいに精神的に追い詰めてマックスパワーで働いた後のラーメン屋です。笑

 

最近いつもそのシーンが出てきます。

あの頃のよくわからん辛い日々は無駄じゃなかったなぁと。

苦労という程ではないのですが、昔の自分なりに苦しい日々が今になって自分だけの財産になってるのかもしれません。

20代の過ごし方で30代が決まるみたいな格言がありますが、それの30代がそろそろ中盤に入ってきていて、来る40代に向けてどう過ごせるかなぁなんて事もふわっと考えています。

でも、いつも過去ばっかり見ているのは本当に悪い癖ですね。笑

その頃の1号です。顔は笑ってますが、いつも心は曇り空な毎日でした。

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話を戻すと、8年目!

テーマはやっぱり「働き方改革」ですかね!時代の流れに乗っていきます!

子どもが本当に小さい頃は長い人生の中でも、ほんの僅かな期間です。その時くらいは、軸足を家族との生活に置いてもバチは当たらないと思っています。

 

もちろん、変わらず一生懸命野菜を作りますし、頑張ってお客さんにお届けしたいと思います。

でも、もしかすると今年はひどかった昨年に比べても更に売上が落ちる事もあるかもしれないと正直思っています。

でもそれ以上に今のこの1年は、きっとかけがえのない1年になるんじゃないかと思っています。