9年目の抱負。と辛かった思い出。

2020年04月08日(水) 生い立ち

いつもの事ながら久々の日誌になりました、1号(夫)です。
昨日から大都市圏には緊急事態宣言が出されて、日本中が大変な事になってきましたね。
と言うよりも世界中ですね。

あらい農園の生活をしている京都は、外国人観光客が来れなくなったあたりから、ずいぶん人が減りましたが、今は観光地なんかは閑散としている場所もあるようですが、普段の生活に関しては驚くような変化はないように感じています。

僕は特に、この時期は野菜BOXもお休みの時期なので、尚更街には出て行く事がありません。なので、普段通りに畑作業なんかをしていたら、変わらぬ日常という感じもしています。
京北には、この前の土日なんかは京都市内や他府県からの車やバイクが多く来ていて、道の駅なんかは逆に溢れかえっていたらしく。
確かに今は、田舎に行くくらいしか選択肢ないよなぁと思っています。河原でキャンプも多かったようですが、残念ながら今は直売所に出す野菜もほとんどありません。違う時期だったらたくさん売れたのになぁ。

でもそんな雰囲気を感じると、さすがに京北のような田舎でもマスクは着用するのですが、それでもコメリ(ホームセンター)とかには農業の資材なんかをよく買いに出掛けています。

そんな感じで日々を過ごしています。
もちろん、例年通りこの時期は春夏野菜の準備に勤しんでいまして、夏野菜の育苗をしつつ、春の葉物やマメ類を植えたり、じゃがいもを植え付け、お米の播種も近々しようと思います。

悲観的な予想ではこれから不景気どころか世界恐慌な感じになるかもしれないし、そうなると食糧危機的な雰囲気も出るんじゃないかと思わなくもないですが、余計な事は考えずに慌てず、目の前の農作業を一つ一つこなすのみだと思って過ごしています。

コロナウイルスとかは関係なく、実はこの時期はあらい農園の誕生日になります。正確には3月24日くらいなんですが。満8歳になりました!
農業の研修生時代を含めると僕は農業歴が10年になりました。
毎年この時期は、昔の事を思い出しつつ、新たな1年の抱負を考えています。

何を書こうかと考えていたら、facebookの個人的なアカウントの方に、3年前は〜とかの過去の自分の投稿が上がってきて、そのまま過去を遡ると色々な思い出がたくさん出てきました。

以前は、今と比べて本当に何もかもがうまくいかず、いつも「自分は農業には向いていない」と頭を抱えていた事を思い出します。
落ち込む出来事が起こるたびに、一人で抱え込むと塞ぎ込んでしまうので、それをfacebookに投稿して、負の感情をシェアしてもらっていた時期です。笑

その中でも、当時の落ち込む感じが前面に出ていた懐かしい投稿がありました。

こちら↓
2015.7.20の投稿
台風でパプリカがポキポキ折れちまっています。
幼い頃に鹿に葉を食い荒らされて、ようやく大きくなって実をつけたと思ったら今度はその実の重さで、風が吹くとえらいことになった模様です。
対策しとけよって自分をdisっていますが、一方で忙しかったから仕方ないよと慰めてもいます。

スイートコーンは手塩にかけて、箱入り娘で育ててきたものの、台風の風で傾きまくったところをカラスに荒らされました。少し食べられただけやったのに、さっき見たらクソほど荒らされとるやんけ‼︎
虚しすぎて、悲しくなりますわ。
畑で倒れて寝てしまいたくなる。本気で。
その隣では、今年こそはと気合を入れていたトマトが病気で全滅でございます。
収支の計算したら、なんもせんと家で寝てテレビ見てる方が100倍ましやわ‼︎
台風できゅうりと茄子は傷だらけやし、じゃがいもは不作通り越して凶作やし、おらぁ百姓向いてねぇわ。

自分で選んだ道やから、文句言うなよと思いますし、しっかり対策してないお前の管理能力の低さが問題やねんと、ついdisってしまいそうですが、そんな事をしても、力が抜けて動けなくなるだけですので、ここは馬場俊英の出番です。
馬場さんなしでは、この局面は乗り切れないわ。

すいません、アラサーのクセにみっともない愚痴をさらして、皆様の連休を汚してしまったかもしれません。

いやぁ
ここが正念場や。
しんどいけど、ここで折れたら冬に泣くことになるわ。

さすがに辛すぎて誰かに聞いて欲しくなりましたよ久々に。
こんな時あっても良いやんね。

しかもカラスが本当にバカにしたように鳴くもんやから、たまりません。なんでお前らの残りもんをこっちがちまちま探しながら収穫せなあかんねん。
トマトが死んで、これに望みを掛けてきたもんやから、ほんまにね。ってまた愚痴っとるわ。

でも頑張ります。
ちょっと休憩したし、これからダッシュで収穫します!

ご静聴ありがとうございました。
すいません、どうでもよい人の過去の思い出に付き合わせてしまいました。
でもなんか、この当時はほんまにこんな感じで、畑で呆然と立ち尽くしてしまう事もよくあったし、畑に行く度に落ち込むから、行きたくなかった時期もあったんです。

でもこういう時期があったら、今わりと前向きに農業が出来ている事にありがたみを感じる事ができます。この毎日は昔の自分が憧れていた毎日なんだ、、みたいな事はわりと頻繁に考える事があります。だから何も文句言わず頑張れよと。

それとやっぱり、この時期なんかは野菜の質も今より全然ダメで正直に言うと野菜BOXのお客さんの入れ替わりも多かったのです。
応援してくださるお客さんにしても、さすがにお金を払い続けるレベルではなかったという事もあったと思います。

でもそんな時から、変わらず応援をしてくださるお客さんもいらっしゃいます。本当にありがたいです。
そして以前からではなくても、今現在のあらい農園を応援して頂けるお客さんにも感謝の気持ちをお伝えしたいです。

もちろん家族、友人には本当に支えられてきました。

このfacebookの投稿には、友人からの励ましのコメントがたくさん並んでいて、見返すだけでも嬉しくなりました。ああいった辛い事と励ましの繰り返しでなんとかやってきたんやなと。

皆さま、本当にいつもありがとうございます。
これからも頑張ってまいります!

↓当時の資材置きハウスの様子。ごちゃごちゃ。。

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そして9年目の抱負も!

ここ最近はあまり抱負らしい抱負がなくて、とにかく日々の農作業を頑張って、良い野菜をたくさんお届けする!という感じでした。

それはそれで本当に思っていたし、今年も同じくなのですが。
今年はさらに盛りだくさんな抱負を抱えております。3つもあります。

1つ目は個人的なもところ。
3号(はな・1歳2ヶ月の娘)との時間を大切に。
僕は我が子の幼い時期は、自分の長い人生で今しかないほんのわずかな時間だと思うようにしています。人生のボーナスステージやと思っています。なので、思う存分味わいたいから、その時間を捻出するためにも仕事は厳しく取捨選択をして、無駄な農作業をなくして、効率的な労働をしていく所存です!

いつもなら、途中でアクシデントが起きたりすると、ムカムカしてモヤモヤするから、
「まずこのアクシデントをなんとかしてから、次や!!」
となるところを、
「おいお前、それ今ほんまに必要なん?冷静になれよ大人なんやから」と冷たく自分に言い聞かすのが出来るかどうか!

2番目は新たな挑戦でしょうか。
最近、京北の若い農家さんとの繋がりを大切にするようになりました。
実は少し前までの僕は、見かけによらず勝ち気なところがあったので、
「仲間とか必要ないし、ライバル視した方が負けたくないし、その方がいいねん」とか言って、一匹狼的な雰囲気を醸し出していたのです。

でも最近色んな面で、
あぁ、このままやと若い僕らにとって良い未来は来ないかも。という不安が広がってきまして。
待ってても、運任せなんやったら、自分らからその良い未来を作っていくように動く必要があるなと感じたのです!
そのために、同じ問題意識をもった農家同士で繋がって、その上で自分らのこれからの農業を作っていくべきやと、、。

そういう風に横の繋がりで何かをしていく経験って実はほとんどないので、うまくいかないかもしれませんが、それもまた経験で自分の糧にもなると思うから、頑張って盛り上げていきたいと思っています。

それと、これは特に田舎ではそうかもしれないのですが、とにかく高齢化・過疎化で、このままでは衰退する流れみたいな事がよくあります。
そこをどう変えていくかという、やりがいというか、「伸びしろ」とか「変えしろ」みたいものはきっとあって、それは例えば大きな組織に属しているような場では、なかなか感じられない事なのかなぁと。

そういう「変えしろ」に、自分なんかでも主体的に取り組んでいけそうな面白みを感じたり、難しいやろうからこその自分の成長に繋がりそうな感じとか、あると思います。
農家でなくても、同じ年代くらいの人がもっと京北に移住をしてくれて、そういった気持ちで一緒に京北の未来をつくっていけたら楽しいやろなと思っています。

それって、たぶん60歳とかなった時にそんな仲間が多かったらすごい楽しいやろうなと思います!
はい。
やっと3つ目!笑

3つ目は、これはコロナの影響とかの話で微妙な事かもしれませんが。。
悲観的に捉えると、この状況はしばらく続くし、むしろこれから悪化するかもしれません。
もし外出もままならない、ましてや食料の輸入制限とかの影響まで話が進んだら、色々大変かと思います。
幸い、あらい農園は農業という食べ物を作る仕事なので、不況には強かったりします。

断定した事は今の段階では何も言えないのですが、気持ちとしては、例えば食料不足とか諸々の要因で野菜や米の価格が高騰したりして、世間とは反対に農家が儲かるような状況になったとしても、ここぞとばかりに儲けに走るような事はしないと決めています。あらい農園の姿勢として!

こういう時こそ、支えてもらってきたお客さんを優先にしたいです。

それと家族や友人にも野菜やお米で困っていたら
、うちでできる範囲の事はしたいなと、勝手に危機感を持って勝手に思っています。笑

この危機に、これから困ってくる人が増えてくるかと思いますが、あらい農園としては野菜やお米を通じて、微力でも役に立てるように準備はしたいと思っています。

そのためにもしっかり作らなあかん!

また文書長くなった〜。

夜中3時半の娘の夜泣きから、目が冴えてしまい、ただ今早朝5時半です。
今日も免疫下がらん程度に頑張ります!

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いきなり決意表明

2020年03月01日(日) 考えごと

久しぶりの投稿になりました。あらい農園1号(夫)です。
今冬は暖冬で非常に過ごしやすかったですね。ここ黒田では根雪になる年が多いのですが、今年は積もってもすぐに溶けたので、掘り残していた里芋やごぼう、人参などの収穫がとっても楽でした!
いつもならまず、作物が残っている畝の雪かきをしてから収穫とか、それ以前に家や周辺の道路の除雪をしてから出発みたいな日が多いものでしたので。今年も2日ほどは除雪で出動することもありましたが。

3月になりますので、これからは来年度に向けての準備も猛烈な勢いで進めていかねばなりません!野菜BOXのお届けは一旦お休みに入っていますが、畑作業はここからが勝負所です。毎年のように言っているかもしれませんが、うちは3月こそが1年の計だと思っています。3月に勢いよくスタートダッシュを掛けられると、夏くらいになってもなんとか仕事に追われすぎずに、頑張ることができます。
これが3月に冬の気分をそのまま持ち越してのんびりしていると、いつの間にやら春の耕運、植え付けラッシュと、田植えの準備と、更には毎週末のごとく地域の溝掃除などの行事に追われて、そのままできてない作業に追われ続け、気付けば冬野菜の種まきと準備になって、、、、。あわわわ、と言いながら過ごさなければいけません。それはとっても苦しい事なので、その前に先にしんどくても頑張っておく!という感じでやりたいのです。

そんな気分でいるのですが、昨今は自分の農業以外の事で何かと心が騒がしい毎日です。

コロナウイルスはもちろんなんですけど、それはもう自分たちがやることをしっかりするとして。日本の農業を取り巻く事、京北の地域の未来についてなど。とても手に追えんような大きな問題についてあれやこれやと日々悩んでおります。

簡単にご紹介すると、
京北の農地の今後の事、種苗法とか関税とか農地法とかの国の政策的な事、北陸新幹線が京北を通ること。

全部大きいことなんですが、どうしたらいいんやろう。。と3号(娘)が寝付いてから夫婦で話したりしています。

国の農政の事と、北陸新幹線の事は、国レベルの話ですが、零細農家にとっては風向きによってはとてつもなく厳しい展開になったりもしそうです。
新幹線なんて、大きな公共工事が初めて自分事になっています。例えば沖縄の基地問題とか、どこかのダムの建設とか、リニアの工事とか、今まで自分にとっては対岸の火事でしかなかったのですが、今回は「あれ?自分の敷地で出火してるやん!」という寝耳に水状態です。

最悪の想定は新幹線のトンネル工事で5年間?絶え間なく、トンネルを掘った後の土砂を運んだダンプが家の前の道路を走り回るという。家の前には道路1本しかないので、トンネル工事個所と残土の捨て場の中間に黒田地区があってしまうと絶対そうなります。
そんな環境で誰も暮らしたくないですよね?
でも、そんな状況になるかもしれない。

5年我慢したらタダで新幹線乗れるわけでもなんでもなくて、わざわざ京都駅まで行ってから普通に新幹線乗るしかありません。なんのメリットがあるのでしょうか。デメリットやったらたくさんあるのですが。。。

でも考えてみると、最近亀岡に新たにできたサッカー専用スタジアム。僕にとってはあれは最高なんです!待ちに待ったスタジアムです。でもあれだって長い事反対運動もあったし、サッカーに興味のない亀岡の人からすると何のメリットもないし、むしろ環境破壊で生活にも支障でるし税金の無駄使いで、ただの犠牲でしかないと思っているのかも。

リニアや新幹線の事と同じかもしれませんね。早く移動したい人にとっては最高!かもしれませんが、線路が通る地域の人にとっては大好きな自然がただただ壊されると感じている人もいるという事ですね。

でも、なんとなくですが。小さなささやかな幸せとか自然とか、お金にならないようなことは、「より便利に、もっと快適に」という力の前には、負けてしまうのかなと思ってしまいます。今の日本では。

農業の政策面でもそんな感じに思えます。小さな農業より輸出で稼げる農業へ!みたいな雰囲気というか。
スマート農業とか言うけど、その機能何百万円ですか?という気持ちになります。
お金にならないけど、助け合いの中で自然とか田舎の風景を守ってきたのは、その地域で細々と暮らしてきて人たちですよね。
そういうのは時代遅れなんでしょうか?

という気持ちでこれからの農業や地域の未来を憂いています。これは僕だけじゃなくて、農業を、地域を、大切に思っている人の中にたくさんいると思います。

種苗法の話は、ちょっとまだ勉強中なので、またの機会に書けたらとは思うのですが、これも大切な問題です。僕の目から見ると、食の安全が脅かされていくなぁと思います。偏っているのかもしれませんが、でも個人的にはそう思っています。良ければ検索してみて欲しいです。

いろいろと、なんだか暗い内容になりましたが、まぁ基本的に根暗なのでご了承ください!

でも、こういう事これからもうちょっと書いていこうかなと思うようになってきました。(次がいつのなるかわからんけど!)

意見を表明するのはすごく勇気がいることやなぁと、新幹線の事を知ってから改めて感じました。波風が立つのは避けたいし、できれば誰にも嫌われずにいたいというのが田舎に住んでからすごく強くなっていました。農業は地域にお世話になりながら、助けてもらいながらやっていけるものですから。

でも、今の状況とか考えると、「これ、このまま進んでいったらあかんのちゃう?最終的に面白くない感じになってしまうやん」て思う事だらけです。
良くないと思っているのに自分の状況や立場が大切だから守りに入るのは、「保身」というやつな気がしてきました。それ今の一部の政治家と同じやん!かっこ悪~、だっさ~!です。

最終的に自分に返ってくかもしれないし、何よりも自分で自分をダサいとは誰だって思いたくはないですよね。
それやったら勇気がいるけど、変えられないかもしれないけど、少しずつ行動をしていくべきなんでしょう。自分のためにも。

それと、これは本当に個人的な事ですが、娘が生まれてから最近1歳になりました。と同時に僕も父親1歳です。やっぱり良い未来を残していってあげたいなと心から思うようになりました。
それと自分の子どもだけじゃなくて、自分より立場や年齢が下の人には優しくありたいなと思うようにもなりました。
それは黒田に来てからですが、僕らみたいな若者の意見をくみ取ってくれたり、知らぬところで支えもらったり、優しく声をかけて接してくれたり、損得なしで助けてくれたりしてもらう中で、自分もそういう人間になりたいと思うようになってきたのかもしれないです。

自分の立場やお金のためという価値観とは真逆にいる人を本当に尊敬できるようになりました。
なので、僕はまだ34歳ですが、そういう練習を積み重ねていって、自分もそういう人間になりたいと思うのです。

その一つが、間違っていると思うことは勇気を出して発信していくという事。
それは自分のためじゃなくて、常にこれからの未来の人たちにとって、という軸をもっていきたいです。

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