なかなか梅雨が明けずに、相変わらずコロナばかりの毎日で、なんだかスッキリしない夏ですね。
あらい農園の野菜も日照不足と長雨で元気がありません。今のところ天候の影響でひどく被害を受けている事はないのですが、全然関係のない猿の被害がとてつもなく深刻です。
この1〜2ヶ月程、もうずっとずっと猿をどうしたら良いか考え続けています。
春の露地のえんどう豆をほぼ全て食べ尽くされて、今年はお届けが出来ませんでした。露地だけじゃなく、ハウスのえんどう豆も全滅でした。
今まではなかった事ですが、ビニールハウスを破いて侵入してくるようになってきて、7月はひたすらトウモロコシを食べ散らかしています。
もうたぶん500本以上は食べられてしまいました。と言うか、今現在までほぼ収穫できていません。
同じハウスに5回に分けて順番に収穫していく予定でしたが、1,2回目までは全滅で、今3回目の実が太ってくるのを待ってる段階です。たぶんこのままだと全滅するので、悲しいのですが、水やりもせず(潅水設備も壊された)、管理を放置しています。
そんな状況です。
こんな事は未だかつてありませんでした。。
今までに被害を受けた野菜をもし販売できていたら、たぶん10万円くらいにはなっているし、ビニールも張り替えるとか、収穫に至るまでに掛かった経費とか、自分たちの労働とかも含めると、、ため息ものです。
でもお金よりも何より、そこまで頑張って世話をしてきたその時間とか気持ちが、全て無駄になってしまったのが悔しいです。
トウモロコシの栽培はあまり得意ではないのですが、美味しいものをたくさん作りたいと思いますし、楽しみにしてくれているお客さんも多いです。肥料はうちが購入している中で一番高い、甘みが増すであろう肥料を使っています。
他の作物よりもちょっとだけ思いが強いのです。
その手間も時間も思いも、全て猿が適当に食べ散らかして、皮を剥くだけとか、一口かじるだけで投げ捨てるとか、そんな事をされております。
ビニールの穴も何箇所も開けて、おまけに食べた後のトウモロコシのゴミをハウスの屋根の上に捨てていきます。人の神経を逆撫でするように。
どうですか!?この猿の行動は!
許せますか!?
どうしたらいいかを最近ずっと考えています。
たぶんトウモロコシがあるから、隣のトマトの被害はまだ少なくて済んでいます。(もちろん侵入して、食べられる事はありますが)
ハウスと露地は場所が離れているので、また別の猿ですが、露地の方は近所の農家さんや家庭菜園もひどく被害に遭われています。
うちもたぶんこのままだとスイカが出来たとしても全滅でしょう。
お世話になってる農家さんの黒枝豆は必ず狙われます。
どうしたら良いか?
どう考えても捕まえるしかありません。
ちなみに防御するというのは、何十万も費用が掛かって、手間も時間も掛かりますし、それで防げるかはわかりません。
これはうちだけじゃなくて、実は京北全域で今年は猿の被害がとてもひどくなっています。
今まではそんな事なかったのですが。。
なので行政も動いていて、猟友会も協力をして罠を仕掛けたり、捕獲に向けて動いています。
でも今のところ、全然捕まえる事が出来ていません。
人間があの手この手で捕獲に乗り出しても、猿一匹する捕まえられていません。
例えば、罠に掛かるように、バナナやオレンジを置いてみたとしても、怪しいのか、その周囲を木の棒で叩きながら近付くとか。。
自分でもなんとか、捕まえようと頑張ってはいますが、本当に難しいです。
少し前、もう毎日のようにトウモロコシが食べられているちょうどその頃、もう絶対に捕まえて、ありとあらゆる方法で痛めつけてやる!!
って本気で考えていました。笑
いや、今でも考えてはいるのですが。(まだやってないから、批判はしないで下さい。)
でもその頃は、捕まえた後に猿に拷問をする夢を見たり、毎日毎日猿に復讐する事ばかり考えていました。
でも、やってもやっても猿は捕まりません。
今度こそは、今度こそは!と繰り返して、時間とお金も費やして、なんとか猿を捕まえてやる!と日々思っているうちに、だんだんと疲れてきました、、、。
もうこの猿との戦いの螺旋から降りよう。
(マンガ『バガボンド』より「殺し合いの螺旋から降りる」より拝借。)
なんか、猿に拷問する事ばかり考えてるのは、精神的にどうなのかと思うようになったのです。
被害額は計算すると、それはまぁまぁな額にはなるのですが、まぁ定額給付金で10万もらえたし、いっか!
て考えられたらそれで終わりです。
「結局猿の被害ってお金やろ?」
って自分に言い聞かして、
「それで毎日そんな邪悪な気持ちに支配されてるのもどうかと思う。」
みたいに逆に、変におおらかになったりも。
たぶん、もう疲れてきたんだと思います。
そんな感じで、バガボンドの主人公・宮本武蔵が「戦いの螺旋から降りろ」と囁いてくる反面、
これまた井上雄彦のバスケットボールのマンガ『スラムダンク』より、安西先生が現れて「諦めたらそこで試合終了ですよ」と囁いてきます。
試合終了という事は、つまりこの先も猿に作物荒らされ放題という事です。
そんな事あってはなりません!
なんとしてでも捕まえる!
許さん!!
頭の中はこの繰り返しです。
もう、もはや戦ってるのは自分にじゃないかと思えてきます。笑
猿も生きるために必死という意見もありますが、山にも食べ物はたくさんあると思います。たぶん人間の作る野菜の方が美味しいから、食べに来ているだけでしょう。
これはもう人間と野生動物との共存というお互いの不可侵条約を破棄して責めてきてる段階ですやん。
みたいな事を人間中心の目線で、地域の人に話をしていたら。
「猿も贅沢したいやん。人間だってそうやろ。」と。
確かに。もし美味しいトウモロコシを見つけたら、親猿は子ども猿に食べさせてやろうとするのかもしれません。人間だってそれは同じで、そういう子を想う親の気持ちは猿も人間も変わらないのかもしれない、、、。
という、戦いの螺旋から降りる派と。
これだけ頑張っても捕まえられないなんて、人間はやっぱり野生動物には敵わないなぁ。
て事は、逆に猿に作物荒らされてるのって、弱いものイジメされてるやん?!
あいつらの方が強いって事なのか。
それでいて、命がけで美味しもの奪いに来て、更にお婆さんとかに威嚇してるという事は、もうこちらも真剣勝負で、本気で捕まえにいっても文句ないやんね?
むしろ対等やんね?
という、諦めたら試合終了ですよ派と。
なにかと忙しく気持ちが揺さぶられています。
まぁたぶん気持ち的に疲れてきたのと、仕事が忙しくて体力的に疲れてるのもありますが。。
こんな風に、野生動物を捕まえるとか、拷問するとか、人によっては許し難い発言なのかもしれませんね。
僕としては、これは会社のオフィスに毎晩泥棒が入ってるようなもんで、人間だったら当然警察が逮捕すべき事やと思っていて、これが動物やったら捕まえるしかない。という気持ちになっています。
人によっては残酷で冷酷な人間と見えるのかもしれません。
(以前に鹿を仕留めた内容のブログを書いた際に、見ず知らず方から、そんな事を言われたので)
でも、間違いがどうかはわかりませんが、専業で農業だけで生活している僕の本音です。
たぶん、畜産業とかでも牛や豚の飼育環境について動物愛護の観点から言うと、そんな仕事は今すぐ廃止すべきという意見もあるかと思います。
その意見もよくわかるけど、働いている人の生活もあって、、とか色々難しい。。
話それました!笑
とにかく猿は、大問題なんです。
うちはまだ若いし体力も気力もありますが、高齢の農家さんでも、お婆さんの家庭菜園でも、動物に荒らされてると一気に気力が失われると思うのです。自分だって、倒れ込むくらいにやる気がなくなります。
高齢だったら、それで離農したり、野菜作りを辞めてしまう人もあるんじゃないかって。
それはやっぱり悲しいし寂しいです。
こうやって猿が好き勝手にしているのは、過疎化と高齢化にも原因があると思うのです。
人間が少ないし、いてもお婆さんばかりだと猿は余裕で人間の野菜を奪いに来ます。
反対にもっと若い人が増えて、活気が出てきたら少しはマシになるんじゃないかと。
だから、自分だけじゃなくて他の人の畑も荒らされたくはないのです。
取り留めなく書いてしまいましたが、今はそんな事で、気持ちが猿に向きながらも、そこから派生して、なんか色んな事を考えさせられています。