トラクターを買った! そしたらモヤっとしたの巻
2021年02月13日(土) 考えごとまた随分と更新ができていませんでした。
気付けば年も開けて、もう2月も中頃に!
2月は逃げると言いますが、なんか今年は特に早く感じます。
そろそろ夏野菜の種播きの時期になってきて、これから去年の秋冬の畑の片付けや、春作の準備など、ぼちぼちとまた慌ただしくなってまいります。
今年はとっても寒かったのですが、積雪は今はすっかりなくなり、今年も雪の少ない冬になったのだなというところでしょうか。
そんなこの頃、あらい農園では大きなニュースがありました!
新しいトラクターを購入したのです!
(車庫の中なので少し見にくいですね。。)
こんなにピカピカですが一応は中古なんです。
でも使用が17アワー(農機具はメーターが走行距離ではなく使用時間なのです。)
まだ17時間しか使われていないトラクターです。しかも製造年も2018年という機種!
イセキNT253Sという25馬力のトラクターです。
そんなトラクターが手に入ったなんて夢のようです。いまだに車庫に行っては「ほんまに買ったんやなぁ」としみじみします。
あらい農園はこれまで3台のトラクターと共に営農してきまして、今回のNT253Sは4台目です。
1台目は就農当初に3万で譲り受けた1980年前後のイセキTS2210(耕太)自分たちより5歳も年上のトラクターでした。ちなみにハウス専用機としてもまだ使用しています。
2台目は黒田に来てから近所の方から購入したイセキTG25。90年台後半の機種です。3年前くらいにエンジンが焼き付いて乗れなくなりました。まだ700アワーくらいでしたが、、、。
3台目はその悲報を受けて、特別に格安で購入させてもらったイセキのTA247。90年台前半の機種です。この冬も主力でバリバリ働いておりました。
そして、この度2018年製造の新型がやってきたのです!
専門的な話になりますが、最近まで使ってたTA247は水平機能が利かない状態で、ワンタッチヒッチも安全バーもない時代のものでした。
多くの農家が普通に使ってる機能がないトラクターでこれまでやってきて、ようやく農家10年目で一人前のものが使えるようになりました。
それどころか最新の機能が搭載されていて、今から畑に出れる日をワクワクして待っています。
大事に使って30年後、65歳の時でも乗れるように付き合っていくつもりです!
そんな嬉しいニュースがありました!
はい、とてもとても嬉しいのですが。
少しモヤモヤっとしてしまう事があるねって夫婦で話たりしている事もあります。
嬉しいニュースで終われば良いのですが。
こんな事言うてなんの得にもならんやろと思いつつ、どこかに吐き出したくなってしまったので、愚痴みたいなもんですが書こうかと思いました。
ひねくれた気持ちを出すことで、好感度下げてどうすんねん‼︎って思いつつ、昔から気持ちを溜め込めない性格の僕ちゃん気質なのでお許しを。笑
モヤっとポイントが2つありまして、両方とも周囲の目が少し気になるなぁという話。
まずは、田舎あるあるなのかな?
儲かってると思われるのが気になる。
うちは最近設備投資に結構力を入れていて、中古ですが、機械も次々に買って、作業場にもビニールカーテンを付けたり、色々と目に見えてお金をかけているのです。
もちろん、自分たちでお金もやりくりして、頑張って稼いだ売上で買ったものばかりなので(補助金も使っていますが)、胸を張ったら良いのですが。
でも、実のところあんまり見られたくないなぁと思うのです。
言い忘れてました、この話全部得意の被害妄想の話ですので、あぁまた発症してるわくらいに聞いてもらえると幸いです。
田舎には農業は稼げるわけがないという考えが結構あって、それで新しいトラクターを買ってるなんてどう思われるんだろうと。
きっと家がお金持ちなんだとか、株でもして稼いでるとか思われるのは、本当に勘弁して欲しいなぁと勝手にモヤモヤしているのです。いや、ほんまに勝手に。。
もちろんお客さんにも、あらい農園は儲けてる!と思われるのも、あんまり嬉しくはないのが本音のところです。
実際すごく儲けてるわけではないのですが、なんとか軌道には乗せれてると言いたいのです。
そして、儲けてるじゃなくて「頑張ってきた」と言って欲しい!
このトラクターを見たら、こんなええトラクター買えるなんてお金があるんやな。と思うのも無理はありません。僕も他人ならそう思うのかもしれません。
でも、僕らも就農当初はお金が本当になくて、作物もボロボロで、色んな奴に下に見られて、そんな時も過ごしてきた過去があって。
その積み重ねの今で、このトラクターなんだよと思っているのです。
あの頃の自分に見せてやりたいという思いですよね。
愚痴なんですけど、例えば僕は立命館大学を卒業してる事を「賢いとか、頭が良い」とか言われるのがちょっと嫌やったりするのです。
それは、立命館大学に行くまでの途中でどんな思いで必死に頑張ったかをすっ飛ばされた様な気持ちになるのです。
(つくづく面倒くさい人間だなと思います。)
なので、頑張った結果なんだと思って欲しいのです。35歳にもなって「頑張ったね」の言葉が欲しいとは僕ちゃんにも程がありますけどね。笑
もうそういうの求める年齢ではないのかもしれないですね!
ちなみに、トラクターの金額は180万円です。
高く感じるか安く感じるかは人によるかと思いますし、トラクターの相場を知ってるかにもよりますね。
たぶん新品だと300万前後はするのと、17時間の使用だと180万は本当に安く買ったという自負があります!
これは実は最初から180万の予算で探していたのではなくて、「経営継続補助金」という農業に特化した補助金を活用して購入をしました。
(ちなみにこの補助金はコロナで臨時的に予算化されたもので、採択率が8〜9割の異常な補助金でした。さすがにバラまき過ぎやろ?と思わなくもないのですが)
この補助金の申請の際にトラクター購入を計画に入れて採択されていて、約50万円分くらいが補助金で賄えるという計算だったのです。
なので思い切った買い物ができたのです。
つまり130万円で買ったような事になります。
こう見ると、軽自動車買ったようなもので、それを30年もお金を稼ぐために働かせるだから、決して高い買い物ではないのです。
もう一つちなみにですが、経営継続補助金で中古トラクターを購入する条件として、使用開始から5年以内というものがあり、また申請時に25馬力以上のトラクター購入と書いていたために、その条件を満たすトラクターとなると、どうしてもこのくらいの予算での買い物になったという経緯もあります。
その上で、せっかく高い金額のトラクターを買うのなら妥協はしたくない!と思って、ヤフオクや農機店の新着情報を毎日毎日チェックして、ようやく見つけたのです!(3ヶ月くらいはずっと探していました)
夜に出品され、すぐに発見し、まさに妥協のないトラクターが出てきた!と慌てふためいたのです。この夜は興奮と、誰かに先を越されるかもしれない!という心配で熟睡できず。
そして翌朝すぐに電話をして、価格交渉で少し値下げを勝ち取り、なんとか購入したというスピード感でした!
うん、ここは褒めて欲しい!
連夜のヤフオクパトロールの成果が身を結んだ瞬間!
そんな購入する過程で、頑張って補助金申請して、頑張って毎晩探して見つけて価格交渉して、それで実質130万くらいでトラクターを買ったんだ!というのも、褒めて欲しいのです。
農家のくせに金の事ばっかりやなって思われるかもしれませんが、機械を安く買う経営努力をした事も伝えたくて仕方がなかったのです。
というのが1つ目のモヤモヤでした。
だいぶスッキリしたけど、2つ目もやはり書こうと思います。
次は補助金を使う事について。
これはなかなか切り込んだ話と言うか、自らあらい農園のイメージダウンを図ってるようなものですが。
僕は(妻はそうでもない)補助金は活用して機械や資材をよく買うのです。
今回のトラクターもそうですし、他にも色々と。
補助金をよく使う事に関して、よく夫婦で意見が割れて喧嘩をしたりします。
どうしてもイメージの悪い補助金というもの。
誤解を恐れずに言うと、あらい農園は補助金まみれの農家なのかもしれません。
決して清廉潔白な農家ではないです。
今回のトラクターも「補助金使ってなんとか買えました!」なんて言うのは言いますが、きっと地域の人には良くは思われてないやろうなと思っています。
そもそも補助金に対しての考え方が人によって違うから、もう仕方ないのですが。
でもそうは言ってもやっぱり人からよく思われていないというのは、少し寂しいのです。
せこい人間やと思われてるやろなと。
補助金について思う事は色々あるのですが、僕は使えるものはどんどん使う!というスタンスの農家です。
イメージ悪いのは承知でのカミングアウトです!笑
今日この事で夫婦で議論を交わしていましたが、結局補助金にしろ何しろ、今だとコロナに関しても、人それぞれに正義があって、正解なんてないやろっていう話になりました。
僕たち夫婦の中でも正義が対立します。
(SEKAI NO OWARIの『ドラゴンナイト』という曲の歌詞にもありますよね。)
僕の中の正義を一方的にお伝えすると。
補助金であろうと売上であろうとギャンブルであろうと、入ってくるお金の流れが違っていても、入ってきたお金をどう使うかが大事やろって思っているのです。
(窃盗とか詐欺みたいな犯罪とかで、被害者がいるようなお金の受取り方はダメですけど)
僕はあらい農園の経営が安定してしっかりと長期的に自立して経営できたら、その次は京北とか黒田とかの地域を盛り上げる事に尽力をしたいなと今は思っています。
そのためには、まず自分達が盤石な体制を維持するべきだと思っています。
そのために売上も上げるし、補助金も使うべきという考え。
安定したから贅沢したいとか高級車乗りたいとか、高級な寿司食いたいとかじゃなくて、地域の衰退を食い止めて、なんとか盛り上げたいという正義です。
もっと農家の仲間を増やして、移住者を増やして、京北や黒田という地域を盛り上げていきたい!思っています。
(地域の活性化は、まわり回って最終的には自分たちのためにもなるからです。)
米作りをやめていく方が次々に増えていくので、その分をうちがカバーして、より多くの田畑を管理するために効率的な機械を導入したいのです。補助金があるならそれ使って。
経営が盤石になったら、今持ってるハウスも次の人にバトンタッチしたいとも思っています。
農家としては、京北の自然は豊かな田畑があってこそ!って思っているので、もっと若手農家が増えていかなあかんと思うし、そのためにはうちの経営が盤石になって、新たな仲間を増やして、しっかりサポートできるようになりたいのです。
農家じゃなくても同年代の移住者も増えて欲しいのです。そのためには課題が山積みで、それを解決するには時間も労力もアイデアも必要です。それだって自分の経営に余裕があれば、よりそっちにパワーを割く事もできると思うので。
勝手に思ってるだけですが、今の京北、そしてあらい農園がいる黒田をこれ以上衰退させずに盛り上げるためだと思っているのです。
大事に守って来られた自然とか文化とか、黒田やと移住者にも優しかったりする空気感とか助け合いの精神性とか。
今のあらい農園は出口がそっちに向いていて、そのために野菜栽培も頑張るし、お米作って農地も広く管理するし、補助金使ってでも経営安定させて、地域のために尽力したいとか思っているのです。(しつこいですね。笑)
そんな事でね、もしも「補助金ばっかりやな」なんて思われてたとしたら、そこは反論したくてモヤっとするという話なのです。
きれいなトラクター買ったばっかりに、逆に周囲の目が色々気になって、いらん事ばかり考えてしまっています。
いつもながら、うざいくらいに本音をさらけ出してみっともないし、不快かもしれませんが。
まぁここはあらい農園の日誌なので、ご了承頂けると幸いです。
35歳にもなって、モヤモヤする事吐き出さなやってられへんなんて、ほんま子どもやな!て呆れますが、まぁ多様性の時代という事にして頂けると嬉しいです。
2号(妻)にはいつも正義を振りかざして喧嘩になるので、そこは本当に申し訳ないのですが。笑