月別アーカイブ: 2017年3月
この3月24日で、あらい農園が農家として出発してから満5歳になります!
この日付は、ちょうど5年前に京都市の就農支援事業が終了して、農業1本で歩み始めた日になります。
右も左も分からないまま、お借りできた畑2枚とそこに立てた簡易の5m程のハウスが小屋兼作業場で、確か最初は軽トラもなしのスタートでした。
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※その後買った記念すべき初めての軽トラです。ネットオークションで10万円のエアコン・パワステなしの軽トラを広島県まで取りに行きました。
それから5年が経って、自分が今いる場所をあらためて考えてみると、夢のような毎日だなと思います。
しっかり農業に打ち込めて、いつも楽しみにしていて下さるお客さんのために野菜を作ることができて、妻を始め家族や友人、応援して下さる方、地域の方々に恵まれて農家らしい生活ができている事。
とてもありがたいと思います。
おかげさまで、胸を張って、「農業だけで生活ができています!」と言えるようになりました。
決して儲かってるわけではないのですが、野菜と米を自給していて、田舎の生活費の安さの中でなら、十分に暮らしていけるようになりました。
新規就農者向けの助成金(年間150万円を5年間)が今年でなくなりますが、それがなくなってもきちんと独立してやっていけるだけの足腰がついてきたかと思います。
(農業には、無駄な補助金が山のようにあるのは事実ですが、この青年就農給付金は僕が農家としてこの5年間なんとか生きていく上で本当にありがたい制度でした。)
この5年間、その前の研修生の頃からも、応援してくださった皆さんの、温かい一言一言の積み重ねで、頑張ってこれたように思います。
本当にありがとうございます!
つい忙しさの中で、こういった気持ちが薄れてしまいそうになるのですが、こういった節目の機会には、色んな事を思い出していきたいと思っております。
もちろん、日頃もそれを見失わないように!
あらい農園の原点は、初めて収穫したほうれん草を軽トラに積んで、振売をした日になります。
自分が一から作り出した野菜を、初めて買って頂けました。ほうれん草だけを100円で販売して、見知らぬお宅を1件ずつチャイムを鳴らしながら売り歩きました。
たぶん4時間くらいで売上2,400円だったと思います。
その時の、100円で野菜を買ってもらえるありがたさは、絶対忘れてはいけない財産なんだ!
と、これは自分に言い聞かせています。
きっと来年にはまた、この記事を見返していると思うので!
苦労話ばかりになり、すみません。
まだ農業で食べていけるか不安だったその当時、たぶん今のような自分を想像して、「そんな風になれたらいいな。自分がそんな恵まれた環境になっていたら絶対にもっともっと頑張れるわ」って常に考えていました。
今のような恵まれた環境というのは、畑が満足に借りられて、家が近くにあって(当時は4階建ての4階・階段なしの賃貸マンションに住んでいました)経営が安定してきている状態です。
あの頃を思うと、起業したてはなんでもそうかもしれませんが、農業に打ち込むには難しい環境だったなと思います。
始めたてだったので当然でしたが。
そんな時期の自分をたまに思い出すと、この今の環境は、当時思い焦がれていた農家の姿なんです。だから「甘えんな、こんなありがたい環境で頑張れへん奴は終わりや!』と、たまに昔の自分から叱咤されながらやっています。
ちなみにですが、昔のあらい農園のブログもございます。名前は「草食農家の農業日誌」という名前です。今思うと、始めた頃は本当にやわやわで、ヒョロヒョロでした。このブログは、本当に始めた当初の気持ちも色々と書いています。少し恥ずかしい気持ちもありますが、もし宜しければ、こちらも是非ご覧ください。特にこれも、新規就農でまだ経験が浅い方に見て頂けると嬉しく思います。辛い時に無理やり前向きに頑張ってる姿に、今さら自分で自分を褒めてやりたい気持ちになります。。
思い出すと、当然ながらこの5年間は辛いことの方が多かったです。
特に理不尽だと思うことや、自分の存在を軽んじられる事、なめられてると思ったことはよくありました。ただ、それが自分の場合は反骨心と言うか強いエネルギーになって自分のエンジンを掛けてきたので、今こうして農家として頑張ってます!と、胸を晴れているようにも思います。
見えてなかったのなら幸いなのですが、「くそぅ‼︎」「なめんなよ、いつか見返してやる‼︎』みたいな負のエネルギー全開で走ってきたのも正直なところです。(笑)
ずっと褒められて伸びると思ってきたけど、全然逆で、むしろけなされて伸びるタイプでした!
なので、正直なところ、この5年でかなり性格が変わったんじゃないかと。。
そのあたり、強くなったところは残しつつ、負のエネルギーの中で失ったのものを取り戻すことが、実はここ最近の裏テーマだったりもします。(笑)
そんな5年を迎えて、いよいよ6年目に突入するあらい農園の目標みたいなものですが。
もう、なんと言っても「野菜をしっかり作る‼︎」
去年もこれでしたが、変わらずです‼︎
ご期待に添えなかった野菜たちや、日の目を見ずに土に還っていった野菜たちがたくさんいたので、もっと頑張るしかないと思っています!
と言いつつやっぱり今年も、忙しいのに無理やり、新しいことに挑戦してみたくて色々と準備をしています。。
今年は蓮根と、イチジクにも挑戦しようかと!
これは例年通り失敗する可能性が高いので、期待をせずにいて頂ければ幸いなんですが。
それと、地域の農地を担えるようになる‼︎
これがわりと新たなモチベーションになっています。
高齢化でどんどん、耕作できないと手放される農地が増えてくるので、まずは自分がしっかりと自分の農地を管理して、それに加えて増えてくる空き農地をいかにしっかりと守れるか、を考えています。
新規就農の若い方が来てくれれば一番良いのですが、それプラス、あらい農園でもなんとか地域の方々に協力を頂きながら一緒になって作物を作っていけないかと。
まだまだ自分の農地の管理も満足にできていない分際で生意気なんですが、でも自分が一番若いので、これからの農地の事やらを主導していけるように、頑張りたいと思っています。
5年の区切りに、思いつくことを書いてみました。
もっともっと、満足していただける野菜を作ってお届けしたいと思います。
ご迷惑をお掛けする事も、またきっとあるかとは思いますが、それ以上に良いものをしっかりお届けできるように、頑張ります。
6年目のあらい農園もどうぞよろしくお願い致します!
農業研修について、あらい農園1号(夫)が思うことを少し書いてみました。
文章がとても長くなりましたが、農家になるための研修をお考えの方には是非。
あくまで自分自身の経験から考えることですので、一面的なところはありますが、一つの意見としてお読みいただければ嬉しいです。
(ちなみにこれは、あらい農園のような少量多品目栽培・直売農家として考えた時です)
僕は、就農前に研修生として計2年間勉強をしてから独立しました。運良く1年ずつのどちらも、良い研修先と研修内容だったので、幅広く農業についての勉強ができました。ただ必ずしも就農をする上で、まず研修生として勉強をする事が良いかと言うと賛否が分かれるようで、たぶんそれは研修先によるのではないかと思っています。
良い研修先はと言うと、
・技術をしっかりと教えてくれる。
・売り方を教えてくれる。
・独立してからも良い関係が続く
あたりかなと個人的に思います。
まず、技術についてですが。
僕の経験から言うと、研修生の頃に1年間で学ぶことよりも、独立してから自分で試行錯誤しながら学ぶ事の方が圧倒的に多いと思います。
上手くいかなければ自分の生活というか人生が変わってくると言っても過言ではないので必死にわからないことがあれば、聞いたり調べたりします。本やインターネットでの情報量はかなりのものですので、結構なんとかなると思います。
あらい農園でも多品目で栽培している野菜のほとんどはネットや本で調べながら失敗も経験した上での方法です。
農家の技術は失敗から学ぶことも多くて、それは経験が豊富で失敗の少ない農家さんで研修するよりは、自分で始めてからの方が圧倒的に経験値が上がると思います。
あと、どこまで手を抜けば失敗するかっていう経験は重要で、それなんかは絶対自分でやらなきゃわからないし、独立したら必ず経験することなので。
ですが研修先で学んだ技術も、もちろんありました。
特に就農間もない頃は、本当に全ての事が初めてなので、野菜の個別の技術と言うよりは、機械の扱い方とか、畝の立て方とか、農機具の使い方など、農家としてのベースになるところは僕の場合は、最初はよりどころになっていました。
でも、これは研修でも良いし、就農する場所の近くの農家さんに教えて頂くのでも良いと思います。
(教えてもらう事は、関係が近づく良いきっかけになります!)
次に売り方です。
これは僕の場合はとても勉強になりました。
特に研修2年目が、京都市独自の研修制度(現在はないです)だったので、5件くらいの様々なスタイルの農家さんで短期研修ができました。その中で「自分だったら、この売り方が良い」と考える事ができました。
その結果が少量多品目・直売というスタイルになって今に至ります。
なので、自分の知らない販売方法が知れたという点はすごく良かったです。
僕の場合はまず農業をするかもわからない状態で研修生をしていたので、その時点で何もやりたい方法がなかったので特に参考になりました。
ちなみに当時の色々な研修先の中で、今の売り方に影響を与えたのは、やはり「振売」という販売スタイルでした。
・お客さんに直接売ることは楽しそう
・振売は儲かる!(話に聞いたのでは、トマトを30分で6万円売るって‼︎極端な例ですが)
この2点は大きかったかもしれません。
もしも、ある程度自分のやりたい販売方法を考えているのなら、研修先がその方法に近い場合は、きっとすごく勉強なると思いましすし、これは技術よりは比較的学びやすいと思います。
※ちなみに僕も少し前まで振売をして販売していましたが、とても30分で6万円なんて遠く及びません!でも経験が浅い自分にとって、お客さんの声を直に聞けること、そして多少見た目が悪くてもなんとか売ることができたのは、とても意味のあることでした。
3つ目は独立してからも関係が続くこと、について。
これは良い関係とそうでない関係があるのかなと思います。
そうでない場合は、独立したのにその研修先の影響力が強い場合ではないでしょうか。
独立心が強くて思い切って農業の世界に飛び込んだのに、実際はいつまでも研修先の下請けとかのケースを聞くと、それじゃあ何のために就農したんだろって思います。
一番最初はそうだとしても、早い段階で厳しくても本当に一人立ちできるように頑張れば、5年後にはたどり着く場所は全然違うと思います。。
就農する人の性格にもよりますが、多くの方は農家という一人親方を目指して農業の道に進まれてるんじゃないかと思うので、しんどくても5年後あたりにはしっかり食べていけるように自分で自分のやり方を作っていった方が良いなと思います。
その方が、自分の仕事に誇りを持てるんじゃないかと。
そういう意味では、あらい農園が研修先になった日には、研修生はできるだけ放牧スタイルで、可能なら平行して自分の畑も管理しながら自分で販売しながら、少しずつ独自路線を作れるように、支えるようなイメージでやりたいな、なんて考えています。
研修が終わってからは、師匠とか先生みたいな存在ではなくて、ちょっとした先輩みたいな緊張感がない関係がいいなとも思います。
あらい農園が研修を受け入れたい理由は、弟子が欲しいとか協力者が欲しいとかじゃなくて、一緒に黒田の地域で農業を頑張る仲間が欲しいからなので!
以上が思うことでした。
最後に、一番大切なこと。
それは、
就農をして定住までをサポートしてくれること、です!
これに尽きると思います。
自分が新規就農から現在に至るまで、なんと言ってもこれが一番のポイントだなと思いました。農業は土地に根付く仕事なので、これがスムーズにできれば、あとは気合いでなんとかなる!と思います。
それくらい地域に馴染むということは新規就農者にとって大切なことです。
本気で専業農家で生計を立てるなら、農地の確保、家の確保、あと小屋や作業場も必要になってきますし、トラクターや軽トラなどの大型機械系も必要不可欠です。そのあたり、地域の方々との関係は本当に重要で、全部自前で揃えようと思えば、それだけで大変な金額になります。設備はなくてもなんとかなりますが、出来れば早いうちに確保できれば、その分早いうちから効率よく農業ができるようなります。
これが、あらい農園が京北に一本化してから一番感じたことです!
そのためには、地域の方々との関係性は本当に大事だと思います。
だからこそ、農業面だけじゃなくて、生活の面でも地域と繋いでくれる研修先の方が就農後にスムーズに農業に専念できるかと思います。
他にも新規就農について思う事は山ほどあるのですが、研修についてはこんな風に思っています。
新規就農が他の業種と比べて厳しいのかは正直よくわかりませんが、よく耳にする「新規就農は起業」というのは確かにそうかなと思います。
上手くいかない時は、このまま食べていけないんじゃないかと不安になったり、働いている友人と比べて自分の不甲斐なさに落ち込む事も多いかとは思います。
そんな時に、どうしても頑張らないといけない理由があるのとないのとでは、全然違うだろうなぁと思います。
思うに自然環境のため、お金のためなどはきっと本当にきつい時には原動力にはならないかもしれません。人にもよりますが僕の場合はそうでした。
農業をするのが目的じゃなくて、本当は実現したい事が奥にあってその手段や方法として農業をやっていく方が、きっとしんどい時に頑張っていけるんじゃないかと思います。
なんてメンタルの事も色々と言いたいのですが、説教くさくなるのでもうやめときます!
自分の経験になるとつい長くなるのですが、また機会があれば他のことも書いていこうと思います!