農業研修で大事なこと

2017年03月17日(金) 考えごと

農業研修について、あらい農園1号(夫)が思うことを少し書いてみました。

文章がとても長くなりましたが、農家になるための研修をお考えの方には是非。

あくまで自分自身の経験から考えることですので、一面的なところはありますが、一つの意見としてお読みいただければ嬉しいです。
(ちなみにこれは、あらい農園のような少量多品目栽培・直売農家として考えた時です)

僕は、就農前に研修生として計2年間勉強をしてから独立しました。運良く1年ずつのどちらも、良い研修先と研修内容だったので、幅広く農業についての勉強ができました。ただ必ずしも就農をする上で、まず研修生として勉強をする事が良いかと言うと賛否が分かれるようで、たぶんそれは研修先によるのではないかと思っています。

良い研修先はと言うと、
・技術をしっかりと教えてくれる。
・売り方を教えてくれる。
・独立してからも良い関係が続く
あたりかなと個人的に思います。

まず、技術についてですが。
僕の経験から言うと、研修生の頃に1年間で学ぶことよりも、独立してから自分で試行錯誤しながら学ぶ事の方が圧倒的に多いと思います。
上手くいかなければ自分の生活というか人生が変わってくると言っても過言ではないので必死にわからないことがあれば、聞いたり調べたりします。本やインターネットでの情報量はかなりのものですので、結構なんとかなると思います。

あらい農園でも多品目で栽培している野菜のほとんどはネットや本で調べながら失敗も経験した上での方法です。
農家の技術は失敗から学ぶことも多くて、それは経験が豊富で失敗の少ない農家さんで研修するよりは、自分で始めてからの方が圧倒的に経験値が上がると思います。

あと、どこまで手を抜けば失敗するかっていう経験は重要で、それなんかは絶対自分でやらなきゃわからないし、独立したら必ず経験することなので。

ですが研修先で学んだ技術も、もちろんありました。
特に就農間もない頃は、本当に全ての事が初めてなので、野菜の個別の技術と言うよりは、機械の扱い方とか、畝の立て方とか、農機具の使い方など、農家としてのベースになるところは僕の場合は、最初はよりどころになっていました。

でも、これは研修でも良いし、就農する場所の近くの農家さんに教えて頂くのでも良いと思います。
(教えてもらう事は、関係が近づく良いきっかけになります!)

 

次に売り方です。

これは僕の場合はとても勉強になりました。
特に研修2年目が、京都市独自の研修制度(現在はないです)だったので、5件くらいの様々なスタイルの農家さんで短期研修ができました。その中で「自分だったら、この売り方が良い」と考える事ができました。
その結果が少量多品目・直売というスタイルになって今に至ります。

なので、自分の知らない販売方法が知れたという点はすごく良かったです。
僕の場合はまず農業をするかもわからない状態で研修生をしていたので、その時点で何もやりたい方法がなかったので特に参考になりました。

ちなみに当時の色々な研修先の中で、今の売り方に影響を与えたのは、やはり「振売」という販売スタイルでした。

・お客さんに直接売ることは楽しそう
・振売は儲かる!(話に聞いたのでは、トマトを30分で6万円売るって‼︎極端な例ですが)

この2点は大きかったかもしれません。
もしも、ある程度自分のやりたい販売方法を考えているのなら、研修先がその方法に近い場合は、きっとすごく勉強なると思いましすし、これは技術よりは比較的学びやすいと思います。

※ちなみに僕も少し前まで振売をして販売していましたが、とても30分で6万円なんて遠く及びません!でも経験が浅い自分にとって、お客さんの声を直に聞けること、そして多少見た目が悪くてもなんとか売ることができたのは、とても意味のあることでした。

3つ目は独立してからも関係が続くこと、について。

これは良い関係とそうでない関係があるのかなと思います。
そうでない場合は、独立したのにその研修先の影響力が強い場合ではないでしょうか。
独立心が強くて思い切って農業の世界に飛び込んだのに、実際はいつまでも研修先の下請けとかのケースを聞くと、それじゃあ何のために就農したんだろって思います。
一番最初はそうだとしても、早い段階で厳しくても本当に一人立ちできるように頑張れば、5年後にはたどり着く場所は全然違うと思います。。

就農する人の性格にもよりますが、多くの方は農家という一人親方を目指して農業の道に進まれてるんじゃないかと思うので、しんどくても5年後あたりにはしっかり食べていけるように自分で自分のやり方を作っていった方が良いなと思います。

その方が、自分の仕事に誇りを持てるんじゃないかと。
そういう意味では、あらい農園が研修先になった日には、研修生はできるだけ放牧スタイルで、可能なら平行して自分の畑も管理しながら自分で販売しながら、少しずつ独自路線を作れるように、支えるようなイメージでやりたいな、なんて考えています。

研修が終わってからは、師匠とか先生みたいな存在ではなくて、ちょっとした先輩みたいな緊張感がない関係がいいなとも思います。

あらい農園が研修を受け入れたい理由は、弟子が欲しいとか協力者が欲しいとかじゃなくて、一緒に黒田の地域で農業を頑張る仲間が欲しいからなので!

 

以上が思うことでした。

最後に、一番大切なこと。

それは、
就農をして定住までをサポートしてくれること、です!

これに尽きると思います。
自分が新規就農から現在に至るまで、なんと言ってもこれが一番のポイントだなと思いました。農業は土地に根付く仕事なので、これがスムーズにできれば、あとは気合いでなんとかなる!と思います。
それくらい地域に馴染むということは新規就農者にとって大切なことです。
本気で専業農家で生計を立てるなら、農地の確保、家の確保、あと小屋や作業場も必要になってきますし、トラクターや軽トラなどの大型機械系も必要不可欠です。そのあたり、地域の方々との関係は本当に重要で、全部自前で揃えようと思えば、それだけで大変な金額になります。設備はなくてもなんとかなりますが、出来れば早いうちに確保できれば、その分早いうちから効率よく農業ができるようなります。
これが、あらい農園が京北に一本化してから一番感じたことです!

そのためには、地域の方々との関係性は本当に大事だと思います。
だからこそ、農業面だけじゃなくて、生活の面でも地域と繋いでくれる研修先の方が就農後にスムーズに農業に専念できるかと思います。

他にも新規就農について思う事は山ほどあるのですが、研修についてはこんな風に思っています。

 

新規就農が他の業種と比べて厳しいのかは正直よくわかりませんが、よく耳にする「新規就農は起業」というのは確かにそうかなと思います。

上手くいかない時は、このまま食べていけないんじゃないかと不安になったり、働いている友人と比べて自分の不甲斐なさに落ち込む事も多いかとは思います。

そんな時に、どうしても頑張らないといけない理由があるのとないのとでは、全然違うだろうなぁと思います。

思うに自然環境のため、お金のためなどはきっと本当にきつい時には原動力にはならないかもしれません。人にもよりますが僕の場合はそうでした。

農業をするのが目的じゃなくて、本当は実現したい事が奥にあってその手段や方法として農業をやっていく方が、きっとしんどい時に頑張っていけるんじゃないかと思います。

なんてメンタルの事も色々と言いたいのですが、説教くさくなるのでもうやめときます!

自分の経験になるとつい長くなるのですが、また機会があれば他のことも書いていこうと思います!