ブログカテゴリ:2号のつぶやき

勝手に農業 Q&A

2017年06月21日(水) 2号のつぶやき 野菜を売ること

最近ちょくちょく農業に興味がある方と会うことがあり、そこでよく聞かれる事を書いてみました!

農業という仕事は、イメージが先行していて実際はどんな感じかわからない事も多いと思います。農家としての仕事がどんな感じか、ちょっとでも知ってもらえれば嬉しいなと思います。

あらい農園にとって思うことや、自分たちの経験の中での事しか書けませんので、これが農業の全ては全然ないのですが、それも含めて読んで頂きたいと思います。

image

それでは、いきます!

Q1、農家って朝は早いんですよね?

日の出の時間によります!夏は朝早くから畑に出て、昼に昼寝をしています。(お寝坊することもあり…!)冬は朝早いと暗くて、収穫するにも野菜が凍っていることもあるので、ゆっくり寝ています!(早起きして事務仕事などなどすることもあり!)

Q2、農家って休みはあるの?

休みは自分で作ればいくらでも休めます!ただその休んだ分、収入が減ったり作物の管理ができなくなるので、そこをどう折り合いをつけるかですが。。例えば真夏でも苗の水やりを近所の農家さんにお願いできたり、その時だけ友人にアルバイトをお願いできれば、休んで旅行に行くことも!
ただ、やっぱり春夏はやることが多いので、正直なかなか休めません。
でも、例えば早朝だけ水やりをしてから、あとは海に行こう!っていう日もたまにはあります!あと冬は野菜も雑草も大きくならないので、1週間くらいの旅行にも行けなくもないです。その期間収入がなくても良いのなら真冬はたぶん1ヶ月くらい休んでも大丈夫だと思います。

Q3、農業って体力がなければ出来ない?

去年農業に参戦したばかりの2号からすると、正直なところ、体力はいる!と思います。1日農作業をすると夜ご飯を食べ終わるともう眠くて起きていられなくなったり、朝だけ起きても身体が重〜いことも…。でも、やっていくうちに体の使い方がわかってきたり、徐々に体力ががついてくるものなのかなと思います!去年は1畝植え付けをするだけ長い…疲れた…と思っていたのですが、最近はまだまだいける♪と思えます!

Q4、野菜は種を蒔いてから収穫までどれくらい掛かる?

これは作物にもよりますし、同じ野菜でも時期によって変わります。
野菜にはそれぞれ発芽適温と生育適温があるので、発芽適温に合った時期に種を蒔いて、生育適温に近いほど順調に大きくなっていきます。例ですが、トマトだと2月に加温をして種を蒔いてから、保温をして苗を育てて4月に植え付けて、収穫が6月〜9月頃までです。最長7ヶ月!これが茄子だと10月後半までになります。冬野菜だと、大根は7月に種を蒔き11月に収穫です。玉ねぎは10月に蒔いて、冬を越して翌年6月に収穫。アスパラガスは種を蒔いてから収穫まで2年くらいは掛かります!本当にそれぞれですね!

Q5、無農薬で野菜は作れるの?

作れます‼︎
たまに、「無農薬はムリや!」って言われる事がありますが、いつも「できるわ!毎日やっとるわい‼︎」って心の中で返してます。(笑)
農薬を使うことに比べると当然手間で大変ですが、できます!
でも、何も対策をせずに普通に作ってたら虫に食べれる事がよくあります。特に白菜なんかは見るも無残に食べられます。。
うちは殺虫剤を使わない代わりに、物理的に防御をします。主に防虫ネットでそもそも蝶々や蛾が卵を産み付けるのを阻止します。
病気は殺菌剤の代わりに、、通気性をよくするために株間を広めにしたり、もとから病気にならないように健康に育つようにしたいと思っています!
一番やっかいなのは雑草ですが、うちは除草剤の代わりに防草シートを地面に敷いたり、マルチというビニールで畝を覆ったり、雑草がまだ小さいタイミングで機械や人力で除草をしています。でも、それでもわさ〜っと茂ってしまった時は、もう気合いで手で引くしかありません‼︎大変ですし、この時が一番「あぁ、無農薬って大変‼︎」って感じる時です!でも意外と草引きは”無”になれる貴重な時間だったりします!

image

Q6、農家になるには?

色んな方法がありますが、一番良いかなと思うのは、まず自分がどんなスタイルの農業をしたいかを考えてみて、それと同じようなスタイルの農家さんの所で研修なり、農業法人だったら就職するなりしていくのが良いかと思います。
例えば、一つの作物だけをドバッと作ってそれだけで勝負したいのなら、そういう農家さんで勉強した方が良いし、うちみたいな多品目直売でやりたいなら、そういう農家さんにまずは話を聞きに行くのが良いかと思います。

これに関して、すごく思う事があるのですが。

たぶん最初に「とりあえず農業がしたいんだけど」って行政の窓口みたいなところに行くのは、個人的には、う〜ん。。です。
勧められる所はほとんどの場合、大きい農業法人です。なぜなら給料がもらえるからです。でも、そこで本当に自分はどんな農家になりたいのかをよく考えてみて欲しいなと思います。大きい農業法人でしか学べない事もあるし、小さい個人経営でやってるとこしか学べない事もあるから、「とりあえず給料もらいながら学べるから」ではなくて、「自分の理想とする農家に近いから」で学ぶ場所をまずは考えて欲しいなと。

ちょっと熱くなって話が脱線しましたが。。
えっと、農家になるには。
色々あるけど、まずは行政機関でもいいけど、勇気を出して農家に直接聞いてみて欲しいです。それが一番近道だし一番親身だと思います。

Q7、農地はどうやって手に入れるの?

新規就農者にとって、特に初期の段階で直面する壁が農地です。農地というものは、基本的に個人の所有の土地なので、当然誰かよく知らない人に簡単に貸す人はあまりいません。そこで新規就農者は、その地域の近隣の農家さんなどを通じて、地域の方々に繋いでもらって、農地を確保する事になります。

基本的には信用してもらうことが1番じゃないかと思います。お借りした土地をしっかり管理することや、地域での仕事(草刈りや溝そうじなどがあれば)に参加することで地域の方々に認めてもらい、「ここの農地どうや?」「あそこのハウスが空いてるぞ」などなど声をかけていただき、農地を広げていけるのではないかと思います。

Q8、実際はどのくらいの農地面積が必要?

これはどの作物を栽培するかによりますが、あらい農園のように多品目で直売をするなら個人的な感覚としては最低でも7反くらいの面積が欲しいかなと思います。
1反というのは、1,000㎡で、約300坪くらいです。20m×50mくらいの面積がわかりやすいと思います。それがだいたい7枚分くらいの面積は欲しいかと思います。
そこから、お米をどれくらいするか、ハウスでの栽培をどれくらいするかで、また変わってきますが。。

農地面積が狭いと失敗ができないし、広すぎると草刈りなどの基本的な管理が行き届かなくなって近所に迷惑を掛けてしまうかもしれません。ちょっとずつ身の丈よりちょっと広いくらいで頑張っていくのが理想なんじゃないかと思います。

Q9、農家の必須アイテムは?

まずは軽トラですね!それもできれば四駆でMT車が理想です。僕はこれまで3台乗り継いできましたが、最初2台は二駆だったので、よく雨の後に畑の土のぬくるみにはまって、抜け出せなくなりました。
次に、トラクターも専業農家なら必要です。馬力は20馬力以上くらいが良いかと思います。
それから、草刈機。畦の草刈りや地域での一斉除草などで絶対に草刈機は必要になります。軽トラと草刈機は田舎ではほぼ一家に一台は持っていると言っても良いくらいです。
あとは、水路から水を汲み上げて水やりをする際に使うエンジンポンプも必須です。

機械類はとりあえずこの4つはできれば最初のうちから持っておきたいアイテムです!

機械以外でも鍬やショベル、三角ホーなどは基本的な農作業ですぐに使います。
あとは、作物によってと栽培の方法によってその都度必要な資材なども出てきます。例えば果菜類(トマトや茄子・唐辛子)などは支柱が必要だったりします!

高価な機械類を最初から一気に揃えるのはなかなか大変だと思います。あらい農園では、ネットオークションをフルに活用して、中古の農機具を購入してきました。最初の軽トラ2台はヤフオクで購入しました。
状態の良し悪しはありますが、上手く買えればすごく良い買い物ができます!そこを見定める目は必要ですが。。でもお金に余裕のない新規就農者にはオススメしたいです。

image

Q10、肥料・種・資材はどこで買う?

基本的には農協で買うことができます。ただ、扱ってる種類が限られているので自分が欲しいものがない事もあります。
また、種屋・肥料屋・資材屋などが近くにあれば、そういったところから買う事もできます。

あらい農園では、今は種はインターネットで、資材もインターネットとホームセンターで買っています。肥料は懇意にしてもらっている肥料屋さんから購入しています。この肥料屋さんは、まだ経験の浅い頃から親身に肥料の事を教えて下さり、今でも作物によって配合を考えてもらったりと、うちの野菜にとっては欠かせない存在です。

Q11、初期費用は実際いくら掛かったか?

あらい農園では、最初預金75万円からスタートをしました。それが最初の種や肥料、マルチなどの資材を買って、草刈機、小さい管理機、ポンプなども買っていくうちに、3ヶ月ほどで通帳の残高が3桁まで減りました。
そこから、なんとか最初の収穫物を販売していって、なんとかやってきたので、そういう経験から、100万円あれば装備が何もなくてもスタートできるんじゃないかと思います!
よく農業の書籍などに、最初の2年間の生活費と初期費用で最低でも1,000万などと書かれていますが、お金がないならそれなりに工夫して、なんとかやっていけると思います。

 

Q12、農家の野菜の販売の仕方は?

大きく分けて、少ない品目の大量生産型と多品目の少量生産型に分かれます。大量生産型は、市場出荷や大口契約の業者やスーパーに出荷します。この場合は、出荷量や規格、見た目などができるだけ均一に揃っている方が評価される事が多いです。

一方の少量生産型は、色々な野菜が欲しいお客さんに販売する事になるので、個人の方や飲食店、八百屋さんなどが多くなります。
あらい農園は初期は市場出荷をしていましたし、今はほとんどが個人・飲食店向けに販売しています。少量生産型の場合は、例えば無農薬などの付加価値を付けて直接お客さんに販売する事が多くなります。なので、生産だけじゃなくて、むしろ販売方法こそが重要になってくるかもしれません。宅配、ネット販売、振売、イベント(マルシェや手作り市)へ出店、他にも工夫次第で色んな方法があります。

それと、道の駅や野菜の直売所にも出荷します。新規就農者で最初のうちはこの直売所が近くにあるかどうか、そこが賑わっているかどうかは結構重要だと思います。特に最初のうちは栽培がなかなか上手くいかないので、満足に販売ができない事もあります。そんな時にたった100円でも野菜が売れる事は本当に大きな事です。
直売所の手数料は売上金額の15〜25%くらいが相場だと思います。

Q13、農業で実際に食べていけるの?

よく聞かれますが、これはおかげさまで今の所は「YES」です!
でも簡単ではありません。
苦しい時期には夕方にアルバイトをして食いつないだ時期もありました。その時は食べていけないんじゃないかといつも不安でした。
ただその中でも自分でも努力をしてきたと自負していますし、それに加えて僕は運がとても良かったとも思います。
「新規就農は起業だ」という事をたまに耳にしましたが、これは本当にそうだと思います。農業は最初の資金がそれ程必要ないので、そういう意味では敷居は低いのかもしれませんが、でも起業と同じで、他の農家さんの真似をしたって勝てないし、それ以前に真似をすること自体が難しいことです。
栽培にしても販売にしても、どちらも自分しかできないやり方で既存の農家と競争していく、くらいの気持ちがなければ、なかなか厳しいかと思います。
農業は今少し注目されている産業ではありますが、それでも基本的に 「百姓じゃあ食っていけない」と言われてきた職業ですので。
僕たちもまだまだ模索中ですし、今後もずっと食べていける保証なんてどこにもないと思っています。それは自営業では当然なんですが。

それでも、僕らは「農業は食っていける」と言いたいし、そう一緒に言ってくれる仲間が増えれば嬉しいと思います!

もし、これから農業を職業として考えていて、けれど一歩踏み出せずにいる方にとって、この記事が何かの参考になれば嬉しいです。

DSC_0269


三ツ矢サイダーの思い出

2014年08月31日(日) 2号のつぶやき 野菜を売ること

先日の振売で少し嬉しい事がありました。

野菜を売ってまわってる途中でお客さんから三ツ矢サイダーを戴きました。

暑かったので、ジュースを戴けるのはとても嬉しいのですが、それだけではありません。
そのジュースを戴いたお客さんはつい最近から野菜を買って頂くようになったのですが、実は僕が振売を最初に始めた、その初日に野菜を買ってもらった方だったのです。

初日というのは、農業を始めて間もない、まだほうれん草しか作っていなくて、とにかくほうれん草だけを軽トラに積んで、一軒ずつ家のチャイムを押してまわっていた日でした。
振売を始めよう!といざ売ってまわると、全然買ってもらえず、たいてい門前払いで、野菜を見てもらえもしないのでした。
たまに心優しい方が玄関から出てきてくださり、その時は100円で売っていたので、なんとか買ってもらえて、それでまた少し頑張ろうと思えて・・そんな繰り返しで頑張っていたわけです。

たまにとっても冷たい態度で追い払われたりすると、本当に挫けそうになって帰りたくなったのですが、「あと1つ売れたら帰ろう」と思ってまわっていました。

そんな時に、ほうれん草を買って頂き、さらに「頑張ってね」と三ツ矢サイダーを戴きました。

それが本当に本当に嬉しくて救われた気がしたのをよく覚えています。

 

って話を先日そのお客さんにしたのです。

そしたら、三ツ矢サイダーを家から持ってきてくださりました。

そのお客さんは最初、僕が2年前にほうれん草を売っていたお兄ちゃんとは別の人だと思っておられて、「そういえば、前にそんなお兄ちゃんがいたなぁ。」と言っておられ、

「それ僕です!!」ってなったんですが。

あの時の事を覚えていてもらったのが嬉しかったし、三ツ矢サイダーを渡して戴いた事も覚えていてもらったのも嬉しかったです。

少し大げさかもしれませんが、あの時の三ツ矢サイダーがあったから、後日また勇気を出して振売に出向けたかもしれないし、それの積み重ねが今も振売にまわらせてもらっているのだと思うと、なんだか感慨深いものがありますね。

2年ぶりの三ツ矢サイダーはやっぱりうまかったです。

三ツ矢