農業について:①端境期について

2016年10月07日(金) 考えごと

最近、当たり前の事ですが一つあらためて思ったことがあります。

それは、農業の事を知らない人が多い!という事です。

まぁそれは別に悪いわけではなく、自分も林業も漁業も酪農の事も、同じ一次産業なのに全く知らないので、当然なのですが。

人と話をしていると、農業の話で「そうなんだぁ〜!」と驚かれる事が結構あるので、ちょっと秋の夜長を利用して、色々と農業についての、多くの人が知らない事を書いていこうかな、なんて思いました。

と言ってもまだ農家歴4年半ですので、知らない事だらけかもしれませんが、そんな浅い経験からの目線も含めて頑張って書いていきます!

 

という事で、1回目は

端境期です!読み方は「はざかいき」です。

端境期は、簡単に言うと野菜の採れなくなる時期で、地域にもよりますがだいたい秋は10月、春は3月〜4月前半頃を指します。京都ではこの時期だと思います。

なぜ少ないかと言うと、ちょうど春夏野菜と秋冬野菜の入れ替え時期に当たるからです。

あらい農園でも今はちょうど秋の端境期に入ってきており、夏に活躍したトマトやきゅうりは品薄になり、茄子やオクラも最盛期から考えると寂しくなるような収量です。
夏野菜はやはり夏の気候に合っているので、これから気温が下がって寒くなるにつれて、花もあまり咲かなくなり、たまに花が咲いて実がついても、ゆっくりしか大きくならず、あまり採れません。

反対に、冬野菜はこれからが本番になるのですが、収穫はもう少し先になります。
本当はこの10月前半頃から収穫が開始できれば良いのですが、そうするには8月の真夏に種蒔きをしなければならず、難しいのです。

理由は、野菜にはそれぞれ発芽適温と生育適温があって、冬野菜の発芽適温はわりと低いので、真夏に種蒔きをしても発芽しにくいからです。

ハウスに黒い資材を被せて、日陰にしたりと上手にすれば可能ではあるのですが。

そんな事で、今の10月というのは、ちょうど夏野菜が終わりに向かい、冬野菜もまだ出揃わない時期なので、野菜の種類が少なくなってしまいます。

ちなみにこの10月に収穫期を迎えるのは、まずはお米です!

それからサツマイモ、里芋、生姜、落花生などです。
よく収穫の秋と言われるのは、きっとお米の事を指していて、野菜は芋類の事なのかも‥と思います。

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端境期とか、旬とかは、基本的には露地栽培で、気候に合わせた野菜の作り方の事を言っていると思うので、ハウスを駆使すればこの端境期はなくす事ができますし、日本列島は縦長で気候が違っているので、産地リレーをしていけば、1年中だいたいの野菜は手に入りますね!

冬にきゅうりやトマトが売られているのは、ハウス内を灯油などで温めて、温室ハウス内で栽培しているからです。

 

次に、秋の端境期よりも長いのが春の端境期です。

こっちは、本当に野菜がなくなります!
野菜の直売所なんかでも、野菜棚がガラガラになります。

3月、4月の端境期の原因は大きく2つあります。
1つ目は、この時期に収穫をしようと思うと、種蒔きの時期を逆算すると、例えば播種から収穫までが短い小松菜でも1、2月頃になります。

この時期は真夏と逆で、今度は気温が低すぎて発芽しませんし、したとしても寒すぎて大きくなりません。ちなみにあらい農園のある京北黒田では冬の間、畑は雪が積もって入れません!

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そんな事で露地では収穫が難しいのです。

2つ目は、花が咲いてくるという問題です。
野菜も、植物なので、遺伝子を残すために、最後は花を咲かせて、種をつけて朽ちていきます。
その花が咲くのが問題で、例えば大根だったら、葉の中心部から茎みたいなのがニョキっと伸びてきますし、キャベツや白菜は、球の中心部からそれが伸びてくるので、球が割れて、そこから花が咲いていきます。

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全部の野菜は花を咲かせるのですが、葉物(ほうれん草、水菜、小松菜、白菜、キャベツなど)は花が咲くと葉が硬くなったり、根菜(人参・大根・かぶなど)だとカスカスになってしまいます。
どうやら、種をつける方に養分を回すようで、そうなると食べても硬いし、美味しくないので、商品価値はなくなります。(ナバナなど、花芽を食べる野菜はこの原理で花芽がついたのを収穫します!)

この花芽がつくのが、だいたい2〜3月の時期になります。
この原因は、温度の上昇と、1日の陽の出ている時間が長くなることからなんです。

温度か陽の長さかは、作物によるのですが、だいたい春が近づくと、冬たちはいっせいに花を咲かせ始めて、農家を困らせます。。

ちなみに土手に菜の花が咲き乱れるのも、同じ原理です!

 

それと、気温がまだ低く、春の野菜がまだ大きくなっていないので、3月〜4月前半は特に野菜が少なくなるのです。
あらい農園のような、野菜BOXで、1年を通して野菜の種類を揃えたい農家は、この端境期をいかに乗り越えるかが、本当に頭の悩ませどころになります。。

今年はハウスをたくさんお借りできたので、頑張って種蒔きの時期をずらしたり、かぼちゃや、芋類などの保存の効く野菜を、多めに作ったりして、乗り越えようと努めています!

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という感じで、端境期というのは、気候的に避けては通れないものです。

長くなりましたが、端境期の説明でした!