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今回の台風被害について

2017年10月24日(火) 考えごと

台風が過ぎ去りました!

今回の台風は本当に強烈な勢いで、夜中に家に吹き付ける風の音で熟睡できない程でした。
ここ最近は台風の前段階で、「史上最大」とか「最大級の警戒」などとニュースで聞きますが、だいたい過ぎ去ってみれば「大したことなかったなぁ」という事がほとんどでした。

でも今回は、いつもの台風よりも強力でしたね。
我が家の家は田舎によくある、山の裾に建っているので(正確には細い道を挟んでいますが)、土砂崩れの危険性のある地域になります。実際に50年ほど前には本当に崩れて家が潰れている地域なので、それなりに警戒しています。

と言っても寝る場所をいつもと変えて、山に遠い部屋で寝てるくらいのもんですが!

今回の台風、うちの畑での被害状況はハウスが1棟、ビニールが破けてしまったのと、もう1棟はビニールは破れていなものの、アーチ状じ建っているパイプが風の勢いで持ち上がり、一部ハウスが変形してしまいました!

どちらも費用と手間は掛かりますが、なんとか自力で修繕できる範囲の被害でした。

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他の農家さんの状況などを聞いたりSNSなどで見たり、道路を走っているだけでもハウスが倒壊していたり、結構甚大被害が出ているようで、今回の台風の強さを改めて感じていいます。

ハウスが倒壊するなんて被害は本当に、お金や時間以上に精神的に相当消耗するような事だと思います。たいていの場合は中に作物がいるので、それも全滅になると思うので、なかなか厳しいものです。

畑以外では、相変わらず道路が倒木と土砂崩れで通行止めになったりしています。
京北は京都市内から国道163号線という、福井県小浜市まで繋がる国道があります。多くの人がそこを通って京都市内に通勤したりしていますが、台風の後はだいたい通行止めになります。笑

細い道路でも、木が根っこから倒れていたり、電線に倒れ掛かっていたりといった状況です。うちの地域は、大雨でよく停電するので、今回も停電を繰り返していました。

今回の台風はそんな状況でした。
被害はいつもよりはありましたが、あの大きさの台風にしてはまだマシで良かったというのが本音です。

それにしても、こういった被害を見るたびに、自然の猛威には当たり前だけど為す術がないものだなぁと思います。

特に農業は、自然災害をすごく受ける仕事で、その度に今までの積み重ねが0になってしまう事が多々あります。0というか、手間暇とお金をかけた分マイナスですが。
その時いつも、「こんな仕事やってらんねぇはアホらし!」

と一瞬思います。思いたくないけど本当によく思う。笑

でも、またなんとか頑張ってやり直していけるものなんですね。
そういうところの、自然に翻弄された後の底力みたいなのは、日本人の昔からのDNAとして組み込まれてるんでしょうか。

正直に言うと、昔は茄子を大量生産していた頃、高知県に台風が直撃と聞けば、相場が上がると喜んでいたりもしました。
でも、今は全国どこの農家さんでも被害が出た状況を見聞きすると、自分が被害に遭った時の気分を思い出して、なんとも言えない気持ちになります。

まぁそうは言っても、自然相手の事やし、それも含めての農業ですので。

農家の雑草魂のようなもので、また自分も含めて頑張っていこうと思います!


自然農というもやもやについて

2017年09月15日(金) 考えごと

あらい農園1号(夫)です。
ここ数ヶ月、よく考える事柄がありまして、あんまりまとまってはいなのですが書いてみようと思います。

そのテーマとは、ずばり「自然農」という事についてです。

自然農と聞いて、???となる人の方がもしかすると今は多いのかもしれません。
反対にこれに反応する人はきっと自然派な人なんだと思います。
もしくは、農家の人か。

自然農とはどういうのもかと言いますと、実は僕自身もよくわかってないし、そもそも定義なんてないような感じだと思っているのですが、簡単に言うと一番特徴的なのが「無肥料栽培」と「固定種」が基本的な考え方で、それ以降の細かい農法については農家ごとに違っています。もちろん無農薬です。

無肥料栽培については、これまで当たり前とされていた「肥料を与えて作物を育てる」のではなくて、肥料というものを人間が意図的に畑に入れなくても、作物は土の状態や様々な環境の元で、力強く育っていくという事です。

固定種というのは、現在の多くの野菜の種が一代交配と言われる1回限りの収穫のための種であるのに対して、固定種の種から栽培した作物のその種を採種してそれを播くと、同じ形質の作物が育つ種の事です。

詳しく色々と書くと長くなってしまうので、ここでは書きませんが、一代交配にはその種を生産する過程において、「雄性不稔」という問題があると言われています。
すごーく、簡単に言うと男性不妊の原因になっているという話があります。

世の中の多くの事がよくわからない事だらけで、例えば薬だって注射だって添加物も砂糖も珈琲も、身体に悪いと言われたり、人体には害がないと言われたりしています。
個人的には、それはその人の体質によるんじゃないかい。と思うので、一概に安全だとか危険だとかは言えないと思っていますが、この一代交配種いわゆるF1種というのも実際はどうかなんてわかっていませんし、少なくとも僕はこの問題に関して「まぁ気になるならやめといた方がいいかなぁ」というスタンスです。

添加物も同じくです。

この種の問題に関しては、実は人の健康という問題とは別に、「世界の種を支配しようと企む世界的大企業」の怪しい話もあるのですが、それはまた気になる方はご自身で調べて判断して頂ければと思います。
と、一代交配種というのは、結構知ってる人の間ではなかなか微妙な存在です。
ちなみにたぶん日本で売られている野菜の99.9%以上は一代交配種です!
そして、あらい農園の野菜も全部じゃないですが一代交配種は普通に作っています。

最近は意識して、固定種も選ぶ比率が多くなってきていますが、でも大半はF1種です。

 

ここで先ほどの「無肥料栽培」に少しだけ戻りますが、基本的にあらい農園では肥料を入れて栽培していますし、むしろ「肥料で野菜の味が変わる!」と本気で思っています。種類とか量とかタイミングとか。。

でも肥料は、実は海外からの輸入に頼っている部分も多く、持続可能な農業かと言えば違うような気はします。
うちは資材もマルチと呼ばれるものをとってもたくさん使用していますが、それも石油由来で、使用後は産業廃棄物です。
マルチもF1種も肥料も、別にいくら使っても有機栽培と呼んでも良いのかもしれませんが、僕は最近このあたりの事を考えると、とても「オーガニック」とは言えないなぁ。。と思ったりします。
自然農をしている農家さんが、肥料の事、種の事を言うたびに、何か自分たちの農業のやり方が、まがいもの、と言われているような気分にすらなります。

中には、有機農業こそ安全安心なイメージがあるだけで、慣行農法(農薬も化成肥料も使う)よりも悪質だ。なんて記事も見かける事があります。

そんな事から、ここ最近この「自然農」という事やらあらい農園の農業について、もやもやっと考える事が多くなっています。

長くなりましたが、わかりづらかったかもしれませんがそんな理由で色々と考えたりしています。
まぁすごく簡単にまとめると、
「有機農業よりも、自然と身体に優しい自然農という存在がちょっと気になる」という感じです。
思うに本当に自然と人に優しいのは、自然農です。
じゃあなんで切り替えないかと言うと、それはもう「生活できる程の収穫量が採れるのか?」「より大変な分、価格に反映させて農業が続けられるくらいの売上が得られるのか?」という、まぁはっきり言うと、お金の問題です。
無肥料栽培はおそらく肥料を撒いて栽培するよりも大変です。
肥料を使用した有機栽培でも大変なのに、それよりも大変で、さらに収量も上がらないと聞きます。
固定種の種は魅力的ですが、一代交配種の種は固定種に比べるとやっぱり作りやすいし、固定種にはない特徴を持った野菜が育てられます。(糖度の高いスイートコーンなどはその代表です)
あらい農園は今6年目ですが、おかげさまでなんとかこの先も頑張れそうな経営状況になってきました。でも2、3年目の本当に苦しかった時期も経験してきて、決して楽ではなかったと思うので、自然農がそれより大変ってそれは…食べていけるのか。。

と思うのです。

実際にそれで農家として生活している方もいらっしゃいますが、それは本当にすごいことだと思います。

 

けれど今から少しずつそちらの方向にシフトをうつして行くことは可能ではないかと思うので、そのペースは自分たちの気持ちと経営の状況を考えながら、無理のないようにしていきたいと思っています。

と言いつつ、引っかかるのは肥料の事で。

無肥料栽培は魅了的ですが、やっぱり肥料によって味をよく出来ると信じているので、固定種にはシフトチェンジする時もあるかもしれませんが、無肥料にはなかなか踏み出せないかもしれません。(1年後には変わってる可能性もありですが…)
「美味しい」という感情は人をほんの少しですが幸せにさせてくれると思っています。なので、有機肥料よりも無肥料の方が環境にも身体にも良いかもしれませんが、この「美味しい」の部分だけはたぶん有機肥料が勝るんじゃないかと思っています。

有機肥料もものによりますが。

味の面でも完敗やなって思う事があるか、もしくは本当に自分たちの中で今の農業のやり方への疑問が大きくなってきて、罪悪感でも感じようものなら、その時には無肥料栽培に本気でチャレンジする日が来るのかもしれません。

色々とまとまりなく、書き連ねましたが、まぁこんな具合にもやもやっと考えているという事を発信しようと思っていたので、良しとしよう!