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5年前の自分と比べて

2020年10月10日(土) 考えごと

農園日誌
1号(夫)です。毎月第2土曜日は2号(妻)と3号(むすめ)が大阪の吹田周辺での配達の週なので、今日は久々に一人でコーヒーを飲んでいます。
あらい農園にとって秋のこの時期(9月後半〜10月前半)は実は少しだけホッとできる時期でもあります。夏野菜が終わりに差し掛かり、冬野菜の植え付けや種播きラッシュもひと段落、もう少ししたら里芋、サツマイモの怒涛の収穫ラッシュの前のひと時。

用事を済ませて、何をするでもなくカフェに入りました。
農業の事をいろいろと考えるのですが、今年が本当にひどい出来具合なのもあって、どうしてもネガティブな事しか浮かんできません。
ふと、Facebookを覗くと、5年前の思い出とかで、あらい農園が初めてテレビに紹介してもらった時にアップをした投稿が出てきましたので、久しぶりに見てみました。
僕が30歳の頃です。
画質が悪いのですが、お時間があれば暇潰しにご覧下さい。15分くらいあります。

5年前も雨が異常に多くて、ここしばらくで一番出来が悪いって同じことを言っていたのがおかしかったです。
この年も原因は違えど、パプリカが全滅してました。笑

テレビ繋がりの話ですが、僕たち夫婦はNHKのプロフェッショナルという番組が好きでよく見ています。昨日録画していた回で、靴磨きのプロの方が、「過去ばかり見ている人はカッコよく無い。常に未来に挑戦をしたい」と話されていました。
うんうん、そやな。
と思ってた翌日に5年前の栄光(テレビに出たこと)をほじくり返してくるという。。

単に懐かしいなと思ったのはあります。2号はまだ婚約者として登場していました。笑

5年前の自分と比べて今はどうなんだと自問すると、「腑抜けやがって」となります。
野菜の不調で少々落ち込み気味だからと言うのが大きいのですが。

でも、「満足しやがって」と言われそうです。あの時は顔で笑いながら、心はハリネズミのように、とげとげしていたものです。
名前を出して大変申し訳ないのですが、今では農家仲間でたまに会って話もする仲の左京区大原の『音吹畑』さん。

http://otofukubatake.com
当時の僕からすると、会った事はないにも関わらず、ただ「この農家すげぇ」という印象だけで「くそっ、見てろよ絶対5年後に抜く‼︎」とかライバル視しつつ、悔しいからブログもFacebookも一切覗かない!という態度。(見たら差を痛感して苦しいから)

今はなんとなく販売の方向性が全然違うから、他の農家さんを敵対視する事はほぼなくなりました。いいのか悪いのか。

話を戻すと、今の自分はハングリー精神を持ってますか?という話です。

今年に関しては野菜の出来が悪すぎて、その点では来年へのモチベーションは高いのですが、ただ全体的に見るとなんとなくモヤモヤっとした気持ちというか、なんというか。

今年は本当に悔しいから、栽培についてのやる気はあるのですが。いや、農家だからそれこそが大事と言えばそうなんですけど。

5年前を思い出すと、とげとげした感じが少なくて、逆に不安になっていたりもします。

大人になった、経営が安定した。
イコール
腑抜けてる、衰退の一歩。

じゃないかという不安。
ちょっとこの冬は、このあたりの事でモヤつきそうな予報が出ています。

それにしても、本当に野菜の出来はそのまま心の浮き沈みに影響しますね。
こんな事言ったらダメかもしれませんが、出来が悪いとやる気がなくなる。

畑に行く気が失せるのです。
そしたら、更に出来が悪くなる。
このループに入りそうになります。
そこに行ったら確実に気分が下がるとわかっていたら、つい足が遠のきます。
そこが頑張りどころですよね。

僕は、今は本当に3号(むすめ)に救われて、喋りたくない気分であっても、3号の前では楽しく過ごしたいと思って、無理やり、ちょっと気持ちを立て直す事ができるのです。

夫婦二人の時はそれはそれは、負のオーラ撒き散らしまくりで、2号には本当に迷惑を掛けました。(今もですが)

いやぁ、野菜きれいに作りたいですね。
ビシッと揃った野菜は気分が良いです。
この欲望は農家としては最低限持ち続けたいですね。
でもこれが叶わない事こそが、農家を頑張り続けられるモチベーションなのかもしれません。

5年前の1号です。農道で脇見運転。こういううっかり事故は今だに改善されません。

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ダメだった夏の振り返り

2020年09月09日(水) 考えごと

あらい農園のいる京北では朝晩は少しひんやりとしてきました。半袖半ズボンでは少し寒いくらいで、もう秋に突入です。

ということで、春夏が終わったという事で今年度の前半を振り返ってみようかと思います。

世間ではコロナ禍で色んな事が失われて制限をされた前半戦だったかと思います。
幸い、あらい農園では大きな被害を受けてる事はなく、むしろ配達のお問い合わせが増えました。(ありがたい事に、以前から配達は件数がいっぱいなので、逆に儲かったみたいな事はありませんが。)

なので、今年も例年と変わらず、日々農作業を頑張って良い野菜をたくさんお客さんにお届けができれば、という気持ちでした。
ただ、今年少し変化をつけたところがありまして、それは意図的に労働時間を減らしにかかったところです。
理由は、3号(むすめ・1歳7カ月)との時間を最優先にしたいと考えたからです。
まだ幼い時期をできるだけ多く一緒に過ごしたいという事で、できればまだ明るくても、18時には仕事を終えたいと思って過ごしてきました。
そのために機械も色んなものを購入して、出来るだけ省力化を図りました。
具体的には、グランドソワー、2連畝立て機マルチャー、など。

フル装備!どやっ!

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そんな意気込みで始まった春は、比較的順調に進んでいました。いくつか失敗や上手くいかない事もありましたが、ある程度の予定通りの収穫もできたし、作業の段取りも調子よく出来ていました。

早々と夏秋のために畝を立てて、人参や秋播きの野菜たちのための太陽熱消毒もしっかりと出来たのです。上記の導入をした機械の効果がバッチリでした!

これがグランドソワーという機械です。トラクターの前に取り付けるタイプで、畝を作る範囲にだけ肥料を播いていきます。

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これは2連成形機マルチャーです。小さい畝を2つ作って、更にその2畝にマルチも張っていきます。メーカーの人曰く、上手く使うのが難しい機械との事ですが、完璧ではないにしても後ろに一人付いて微調整しながらやれば全然使えます。グランドソワーと併用して、一発で施肥から畝立てマルチまでが可能に!(肥料は複数入れる場合は先にブレンドする必要があります。

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あぁ今年はいけるぞ!
となっていたのですが。。。

最近の農園日誌の内容そのまま、猿のひどい襲撃に遭ってしまい、とうもろこしが壊滅的な被害を受けました。
その頃から、なんだか色んな事がうまくいかなくなってきて、そのままの流れでずっと夏が過ぎていきました。

猿の直接的な被害はとうもろこしと、ちょっとだけトマトがやれたくらいで。あとえんどう豆も全滅でした。それとハウスのビニールがあちこち破られたくらい(今回の台風接近の際に全部修復しました)。

あと、パプリカ、万願寺が青枯れ病でこのほど全滅してしまいました。
青枯れ病というのは、その名の通りまだ青々した状態から、ある日いきなり枯れていく病気で、それが1株で出るとその隣、また隣りと日に日に感染をしていく怖ろしい病気です。出たらそれなりの対処法はありますが、そもそも土壌の中に菌がいるので、作物を植えてからでは仮に農薬があっても根絶は難しい病気です。

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それとスイカも初夏の長雨の影響もあってか絶滅で、今年は自分たちで作ったスイカは1つも食べれませんでした。
同じくかぼちゃもかなり厳しい状況で、例年だとかぼちゃ畑にはいけばゴロゴロと落ちていて、重いから収穫が大変みたいな感じですが今年はダメでした。

あとはサツマイモは、たぶん今年は悪そうです。まだ掘ってないのでわかりませんが、去年良かったとの比較して、明らかに葉っぱの数が少ないので、きっとあんまり芋がついてない気がします。
隣に植えてある落花生もほぼ無理そうかなぁ。

今のとこは例年通りとか、比較的調子が良いのはオクラ、茄子くらいでしょうか。あとは九条ねぎも今のところは順調です。

冬野菜のキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどなどはすでに露地は植え付けたのですが、今年は暑さのせいかなんなのか、どんどん枯れていきました。春の段階で段取り良く黒マルチで準備をしていたのが裏目に出たのか、暑くて枯れた気もするし、早くから黒マルチをしたからモグラの性格空間になってしまったのか、、、。

とにかく晴れが続いた日はくる日もくる日もポンプで潅水をしていました。(そしたらある日ポンプが壊れました。)それでなんとか生き残らせる感じで、枯れたのも結構ありました。
苗作りも良くなかったんでしょう。心配なので水ばかりやって甘やかしすぎたんだとは思います。

あとは、、、
必死に収穫量上げにいこうとして裏目に出たバージョンです。
ミニトマトは管理が追いついておらず、暴れまくっていた脇目を慌てて切り落としたら、翌日から付いていた実が割れる割れる。。葉っぱ落としすぎたのですね。
ちょうどその頃ポンプも調子悪くて水やりもストップしていたで、余計に株の中での水分調整がうまくいかなかったようで。
結果的に収穫量だいぶ落ちました。

次はハウスに植えたきゅうり。
青枯れで早々に枯れた万願寺のスペースに、植えたきゅうり。万願寺はナス科できゅうりはウリ科だから影響はないはず、という考えで、同じハウスに植えたのです。

結果的にきゅうり自体はまだ生きているのですが。そのきゅうりに水を送ってやろうとハウス内に水路から水を流し込んだら、その手間にいたまだ生き残っていたパプリカ、万願寺が全枯れしました。たぶん土壌の水の流れで青枯れ菌が蔓延したのか、ただの根腐れか。。

 

一体何をやってるのか。。

こんな感じで、失敗に次ぐ失敗で、大変申し訳ないのですが発送便は新規の受付を一旦止めさせてもらっております。
発送の定期便も品数が揃わないのでお休みに入らせてもらう予定です。
市内でのお届けはかなり少ない種類でのお届けになるかと思います。

9月は端境期ではあるのですが、ここでお休みをするのはここしばらくはなかったのですが、大変申し訳ないです。

出来るだけ早くに再開をするために、葉物をかなり多く播きました。なんとかそれを収穫まで無事に育てて、お届けができるように頑張ります。
いやぁ、書いていて本当にひどいですね。色々申し訳ない。
ただ、今年たしかに労働時間を減らしに掛かってはいるのですが、例年に比べてサボっているようや感覚はあまりなくて、いつも通りに植えていつも通りの管理でやっていたはずなのですがこの様です。

でもそのわずかな時間の積み重ねが作物の異変に気付いたり、対処をしたりして、それが結果の大きな違いになるのかもしれないですね。
そのあたりを怠ったのと、そもそも気付けなかったのと。
気候は確かに例年以上に農家泣かせではありましたが、それを踏まえてどう管理するかが腕の見せ所なんだと思います。その点で言うと、本当に栽培のレベルが低いなと痛感させられました。

多品目でしているから、どうしても各作物の管理を満足いくレベルにするのは難しいのですが、それにしてもひどい結果です。これが今年だけ変な気候やったからで片付けられたらまだマシですが、たぶんおかしな気候はこれからずっとですよね。
だとしたら、それに対応できる栽培のレベルまで上げていかなければいけません。
どちららかと言うと販売とかの方を優先して農業をしてきたので、この厳しい気候で生産面での実力が浮き彫りになったように思います。
気候のせいにしてたら農家なんてやっていけないので。

でも、それでもやっぱり18時には終わりたいのです。(秋冬はどちらにしても暗くなるから比較的仕事量は減るのですが)

本当は暗くなるまで目一杯やった方が作物の出来は良くなるのですが、僕(1号・夫)としては今はやはり家族との時間を最優先にしたいのが本音です。
そのへんのさじ加減を自分で出来るのが農業の良いところなので、長い人生の中でまだ3号が幼い期間くらいは、 仕事<家庭 で行きたいなとは思うのです。結果として今年みたいなボロボロの出来だったとしても。
いや、ほんまは人生全部、仕事<家庭 で行きたいです。笑

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この優先度をベースにして、どれだけ栽培レベルを高めていけるかが、これからの仕事の方向性になりそうです。

僕は最近、全部筋トレと一緒じゃないかと思うようにしていて、今年はそういう意味で 仕事<家庭というバランスで農業をするという筋力がまだ全然なんだろうなと。筋トレと同じで、厳しいけど負荷かけたらその分だけ筋肉がついてくるばすだと思っています。
ワースライフバランス筋で略してWLB筋と名付けましょう!おぉなんかプロレス団体みたい!笑
とまぁ、そんな感じで筋トレをしていた夏でした。作物がどんどんダメになっていくのは精神的にもなかなか厳しいので、夏なので普通に忙しいのもあって、ただひたすら、この毎日早く過ぎ去れ!と思う事も多かったです。
秋が来て、散々な夏野菜を見なくて良い時期になるまで耐えるという感じです。

まぁ筋トレなので、そんなもんですよね。
筋肉は裏切らない!