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猿に作物を荒らされています(妻バージョン)

2020年08月25日(火) 考えごと

毎日暑いですね。連日、最高気温にビックリです。
でもお盆を過ぎて黒田では朝晩秋の気配を感じるようになり、1日の中で夏と秋が行ったり来たりしています。

この間、夫も農園日誌に書いていたのですが、この春から夏にかけてのあらい農園は猿のことで頭がいっぱいでした。
私にとってここまでの獣害の被害はほぼ初めて。今までハウスは獣害の心配もないし、虫の被害もマシで、私にとってとても安心感があるところでした。そのためビニールを破って猿が入ってくるなんて、考えてもいなくて、どうやっても守れない…と絶望でした。お客さんにお届けできない…というショックがとても大きかったです。
そして食べたものをハウスのビニールの上に投げ捨てていたり、食べ方がまた腹が立つのです。私が横のハウスで作業していても全く気にもとめずにトウモロコシを食べていたり。見つけて追いかけてか行くのですが、山の方へ行って、そこからこちらを見てきます。爆竹を投げても届かず。猿もそれをわかっていて、余裕綽々です。そして私たちが帰るのを山から見て待っているのです。帰ったら猿がハウスに入ってトウモロコシを食べに来るのがわかっていながら、目の前にいるのに、何にもできない、もどかしいのと悔しいのと無力さを痛感させられました。野生動物にはやっぱり敵わないなぁ…というのが私の率直な感想です。

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そんな猿との闘いが続いて、夫婦の会話も娘のことか猿のこと。
私は捕まえる=殺すということになるので、どうにか棲み分けができればいいなぁと思います。こうして山から降りてくるのもきっと大元は人間のせいじゃないかと思ったり。夫は捕まえて復讐したいと言っていましたが、そんな気持ちで命を奪ってもいいのだろうか、できれば夫の罠にはかかって欲しくないなぁと思っていました。
これまでお世話をしてきた時間や気持ちが無駄になってしまったことは、私はあまり気になりませんでした。猿のせいだけでなく、台風や暑さや自分たちの失敗などなど、今までしてきたことはなんだったんや!ということはよく起こって、それに対して慣れてしまったのか…。とうもろこしをお届けできないことでお客さんにはご迷惑をおかけしていて申し訳ないのですが、私にとってはとうもろこしの分の売上がない、くらい。だからか、捕まえて復讐したいとは思わなくて、棲み分けができればいいなと思いました。
一発、爆竹が当たって、(爆竹は当てたい!と思って投げています。これは復讐心かも…?)人里が怖いところになって、山の奥で生活しておいてくれたら。時々食べに来ることはあっても、少しだけ食べて、お客さんに届けられる分は残しておいてくれたら。そんな聞き分けのいい、人に都合の良い猿になってくれたら。

でもそれはすごい理想論で、本当にそれを実現するにはきっと、とてつもない時間と労力とお金を使わないといけなくて、何よりまずどうすればいいか考えないといけなくて。そんなことをしているうちにトウモロコシは食べ尽くされて、次はトマト、パプリカ、冬のブロッコリーやキャベツ…と被害がどんどん出てくるだけです。となると、捕まえるしかないような気がするのですが、それを認めたくない自分がいました。どうにかして捕まえて被害を食い止めたい、と必死の夫の思いに共感できず、険悪なムードになることも…。

でも夫と話していると、猿はダメで、ゴキブリはよくて、蚊はよくて、ネズミは…と生き物の命に勝手に優劣をつけている自分に気づかされました。生きている中で、お肉も食べるし魚も食べるし、蚊もパチンとするし、どこかで線引きしているのですが、それを突きつけられたような。食べる(生活する)と考えた時に、食するではなくても生活する上で必要な殺生もあるのか…?とか。

そして一番せこいのですが、もし今、誰かが捕まえて、もうこれ以上被害が出ないとなったら、私は喜ぶと思います。自分の見えないところで知らないうちに終わってくれていたら。それこそが私の一番の願いなのかもしれません。お肉も毎回自分で屠殺してお肉にして食べないといけないとなったら、もしかしたら簡単には食べなくなるかもしれません。(一頭の鹿を仕留めたら結構な量のお肉になるのですが…!)誰かが見えないところで屠殺してくれて、精肉してくれて、パックに入っているから、私は気軽に買って食べられるのだと思いました。そんな自分の汚いところが見えて、嫌になったのですが、それでもまだ捕まえるのをよしとできず、棲み分けが…と理想を言いたくなります。だからと言って人任せにしていては、どうにもならないし…とぐるぐる回って答えも出ず、結局日々の生活の中で思考停止です。山間部で農業をしていく中で獣との関わりはきっとなくならないし、頭の片隅ででもぐるぐると考え続けなければいけないなぁと思います。

と、言っていたら、少し前に役所の方々が大きな檻のような罠をしかけてくださいました。それ以降、なんと被害が出ていません!警戒して今は来ていないようです。根本的な解決にはなっていないのですが、ひとまずとうもろこしが収穫できました!嬉しい…!こうなるとまた、見えないところで知らないうちにことが終わって、まぁいっか~という精神が出てしまいそうです…。

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猿に作物を荒らされています。

2020年07月29日(水) 考えごと

なかなか梅雨が明けずに、相変わらずコロナばかりの毎日で、なんだかスッキリしない夏ですね。

あらい農園の野菜も日照不足と長雨で元気がありません。今のところ天候の影響でひどく被害を受けている事はないのですが、全然関係のない猿の被害がとてつもなく深刻です。

この1〜2ヶ月程、もうずっとずっと猿をどうしたら良いか考え続けています。

春の露地のえんどう豆をほぼ全て食べ尽くされて、今年はお届けが出来ませんでした。露地だけじゃなく、ハウスのえんどう豆も全滅でした。
今まではなかった事ですが、ビニールハウスを破いて侵入してくるようになってきて、7月はひたすらトウモロコシを食べ散らかしています。

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もうたぶん500本以上は食べられてしまいました。と言うか、今現在までほぼ収穫できていません。

同じハウスに5回に分けて順番に収穫していく予定でしたが、1,2回目までは全滅で、今3回目の実が太ってくるのを待ってる段階です。たぶんこのままだと全滅するので、悲しいのですが、水やりもせず(潅水設備も壊された)、管理を放置しています。
そんな状況です。

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こんな事は未だかつてありませんでした。。
今までに被害を受けた野菜をもし販売できていたら、たぶん10万円くらいにはなっているし、ビニールも張り替えるとか、収穫に至るまでに掛かった経費とか、自分たちの労働とかも含めると、、ため息ものです。

でもお金よりも何より、そこまで頑張って世話をしてきたその時間とか気持ちが、全て無駄になってしまったのが悔しいです。
トウモロコシの栽培はあまり得意ではないのですが、美味しいものをたくさん作りたいと思いますし、楽しみにしてくれているお客さんも多いです。肥料はうちが購入している中で一番高い、甘みが増すであろう肥料を使っています。
他の作物よりもちょっとだけ思いが強いのです。

その手間も時間も思いも、全て猿が適当に食べ散らかして、皮を剥くだけとか、一口かじるだけで投げ捨てるとか、そんな事をされております。

ビニールの穴も何箇所も開けて、おまけに食べた後のトウモロコシのゴミをハウスの屋根の上に捨てていきます。人の神経を逆撫でするように。

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どうですか!?この猿の行動は!

許せますか!?

どうしたらいいかを最近ずっと考えています。

たぶんトウモロコシがあるから、隣のトマトの被害はまだ少なくて済んでいます。(もちろん侵入して、食べられる事はありますが)

ハウスと露地は場所が離れているので、また別の猿ですが、露地の方は近所の農家さんや家庭菜園もひどく被害に遭われています。
うちもたぶんこのままだとスイカが出来たとしても全滅でしょう。
お世話になってる農家さんの黒枝豆は必ず狙われます。

どうしたら良いか?

どう考えても捕まえるしかありません。

ちなみに防御するというのは、何十万も費用が掛かって、手間も時間も掛かりますし、それで防げるかはわかりません。
これはうちだけじゃなくて、実は京北全域で今年は猿の被害がとてもひどくなっています。
今まではそんな事なかったのですが。。

なので行政も動いていて、猟友会も協力をして罠を仕掛けたり、捕獲に向けて動いています。
でも今のところ、全然捕まえる事が出来ていません。
人間があの手この手で捕獲に乗り出しても、猿一匹する捕まえられていません。
例えば、罠に掛かるように、バナナやオレンジを置いてみたとしても、怪しいのか、その周囲を木の棒で叩きながら近付くとか。。

自分でもなんとか、捕まえようと頑張ってはいますが、本当に難しいです。
少し前、もう毎日のようにトウモロコシが食べられているちょうどその頃、もう絶対に捕まえて、ありとあらゆる方法で痛めつけてやる!!

って本気で考えていました。笑
いや、今でも考えてはいるのですが。(まだやってないから、批判はしないで下さい。)

でもその頃は、捕まえた後に猿に拷問をする夢を見たり、毎日毎日猿に復讐する事ばかり考えていました。

でも、やってもやっても猿は捕まりません。
今度こそは、今度こそは!と繰り返して、時間とお金も費やして、なんとか猿を捕まえてやる!と日々思っているうちに、だんだんと疲れてきました、、、。

もうこの猿との戦いの螺旋から降りよう。

(マンガ『バガボンド』より「殺し合いの螺旋から降りる」より拝借。)
なんか、猿に拷問する事ばかり考えてるのは、精神的にどうなのかと思うようになったのです。
被害額は計算すると、それはまぁまぁな額にはなるのですが、まぁ定額給付金で10万もらえたし、いっか!
て考えられたらそれで終わりです。

「結局猿の被害ってお金やろ?」
って自分に言い聞かして、
「それで毎日そんな邪悪な気持ちに支配されてるのもどうかと思う。」

みたいに逆に、変におおらかになったりも。
たぶん、もう疲れてきたんだと思います。
そんな感じで、バガボンドの主人公・宮本武蔵が「戦いの螺旋から降りろ」と囁いてくる反面、

これまた井上雄彦のバスケットボールのマンガ『スラムダンク』より、安西先生が現れて「諦めたらそこで試合終了ですよ」と囁いてきます。

試合終了という事は、つまりこの先も猿に作物荒らされ放題という事です。
そんな事あってはなりません!
なんとしてでも捕まえる!
許さん!!
頭の中はこの繰り返しです。

もう、もはや戦ってるのは自分にじゃないかと思えてきます。笑

猿も生きるために必死という意見もありますが、山にも食べ物はたくさんあると思います。たぶん人間の作る野菜の方が美味しいから、食べに来ているだけでしょう。
これはもう人間と野生動物との共存というお互いの不可侵条約を破棄して責めてきてる段階ですやん。
みたいな事を人間中心の目線で、地域の人に話をしていたら。

「猿も贅沢したいやん。人間だってそうやろ。」と。
確かに。もし美味しいトウモロコシを見つけたら、親猿は子ども猿に食べさせてやろうとするのかもしれません。人間だってそれは同じで、そういう子を想う親の気持ちは猿も人間も変わらないのかもしれない、、、。

という、戦いの螺旋から降りる派と。
これだけ頑張っても捕まえられないなんて、人間はやっぱり野生動物には敵わないなぁ。
て事は、逆に猿に作物荒らされてるのって、弱いものイジメされてるやん?!
あいつらの方が強いって事なのか。
それでいて、命がけで美味しもの奪いに来て、更にお婆さんとかに威嚇してるという事は、もうこちらも真剣勝負で、本気で捕まえにいっても文句ないやんね?
むしろ対等やんね?

という、諦めたら試合終了ですよ派と。

なにかと忙しく気持ちが揺さぶられています。

まぁたぶん気持ち的に疲れてきたのと、仕事が忙しくて体力的に疲れてるのもありますが。。
こんな風に、野生動物を捕まえるとか、拷問するとか、人によっては許し難い発言なのかもしれませんね。
僕としては、これは会社のオフィスに毎晩泥棒が入ってるようなもんで、人間だったら当然警察が逮捕すべき事やと思っていて、これが動物やったら捕まえるしかない。という気持ちになっています。
人によっては残酷で冷酷な人間と見えるのかもしれません。

(以前に鹿を仕留めた内容のブログを書いた際に、見ず知らず方から、そんな事を言われたので)

でも、間違いがどうかはわかりませんが、専業で農業だけで生活している僕の本音です。

たぶん、畜産業とかでも牛や豚の飼育環境について動物愛護の観点から言うと、そんな仕事は今すぐ廃止すべきという意見もあるかと思います。

その意見もよくわかるけど、働いている人の生活もあって、、とか色々難しい。。
話それました!笑
とにかく猿は、大問題なんです。
うちはまだ若いし体力も気力もありますが、高齢の農家さんでも、お婆さんの家庭菜園でも、動物に荒らされてると一気に気力が失われると思うのです。自分だって、倒れ込むくらいにやる気がなくなります。

高齢だったら、それで離農したり、野菜作りを辞めてしまう人もあるんじゃないかって。
それはやっぱり悲しいし寂しいです。
こうやって猿が好き勝手にしているのは、過疎化と高齢化にも原因があると思うのです。

人間が少ないし、いてもお婆さんばかりだと猿は余裕で人間の野菜を奪いに来ます。
反対にもっと若い人が増えて、活気が出てきたら少しはマシになるんじゃないかと。

だから、自分だけじゃなくて他の人の畑も荒らされたくはないのです。
取り留めなく書いてしまいましたが、今はそんな事で、気持ちが猿に向きながらも、そこから派生して、なんか色んな事を考えさせられています。