あらい農園のいる京北では朝晩は少しひんやりとしてきました。半袖半ズボンでは少し寒いくらいで、もう秋に突入です。
ということで、春夏が終わったという事で今年度の前半を振り返ってみようかと思います。
世間ではコロナ禍で色んな事が失われて制限をされた前半戦だったかと思います。
幸い、あらい農園では大きな被害を受けてる事はなく、むしろ配達のお問い合わせが増えました。(ありがたい事に、以前から配達は件数がいっぱいなので、逆に儲かったみたいな事はありませんが。)
なので、今年も例年と変わらず、日々農作業を頑張って良い野菜をたくさんお客さんにお届けができれば、という気持ちでした。
ただ、今年少し変化をつけたところがありまして、それは意図的に労働時間を減らしにかかったところです。
理由は、3号(むすめ・1歳7カ月)との時間を最優先にしたいと考えたからです。
まだ幼い時期をできるだけ多く一緒に過ごしたいという事で、できればまだ明るくても、18時には仕事を終えたいと思って過ごしてきました。
そのために機械も色んなものを購入して、出来るだけ省力化を図りました。
具体的には、グランドソワー、2連畝立て機マルチャー、など。
フル装備!どやっ!
そんな意気込みで始まった春は、比較的順調に進んでいました。いくつか失敗や上手くいかない事もありましたが、ある程度の予定通りの収穫もできたし、作業の段取りも調子よく出来ていました。
早々と夏秋のために畝を立てて、人参や秋播きの野菜たちのための太陽熱消毒もしっかりと出来たのです。上記の導入をした機械の効果がバッチリでした!
これがグランドソワーという機械です。トラクターの前に取り付けるタイプで、畝を作る範囲にだけ肥料を播いていきます。
これは2連成形機マルチャーです。小さい畝を2つ作って、更にその2畝にマルチも張っていきます。メーカーの人曰く、上手く使うのが難しい機械との事ですが、完璧ではないにしても後ろに一人付いて微調整しながらやれば全然使えます。グランドソワーと併用して、一発で施肥から畝立てマルチまでが可能に!(肥料は複数入れる場合は先にブレンドする必要があります。
あぁ今年はいけるぞ!
となっていたのですが。。。
最近の農園日誌の内容そのまま、猿のひどい襲撃に遭ってしまい、とうもろこしが壊滅的な被害を受けました。
その頃から、なんだか色んな事がうまくいかなくなってきて、そのままの流れでずっと夏が過ぎていきました。
猿の直接的な被害はとうもろこしと、ちょっとだけトマトがやれたくらいで。あとえんどう豆も全滅でした。それとハウスのビニールがあちこち破られたくらい(今回の台風接近の際に全部修復しました)。
あと、パプリカ、万願寺が青枯れ病でこのほど全滅してしまいました。
青枯れ病というのは、その名の通りまだ青々した状態から、ある日いきなり枯れていく病気で、それが1株で出るとその隣、また隣りと日に日に感染をしていく怖ろしい病気です。出たらそれなりの対処法はありますが、そもそも土壌の中に菌がいるので、作物を植えてからでは仮に農薬があっても根絶は難しい病気です。
それとスイカも初夏の長雨の影響もあってか絶滅で、今年は自分たちで作ったスイカは1つも食べれませんでした。
同じくかぼちゃもかなり厳しい状況で、例年だとかぼちゃ畑にはいけばゴロゴロと落ちていて、重いから収穫が大変みたいな感じですが今年はダメでした。
あとはサツマイモは、たぶん今年は悪そうです。まだ掘ってないのでわかりませんが、去年良かったとの比較して、明らかに葉っぱの数が少ないので、きっとあんまり芋がついてない気がします。
隣に植えてある落花生もほぼ無理そうかなぁ。
今のとこは例年通りとか、比較的調子が良いのはオクラ、茄子くらいでしょうか。あとは九条ねぎも今のところは順調です。
冬野菜のキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどなどはすでに露地は植え付けたのですが、今年は暑さのせいかなんなのか、どんどん枯れていきました。春の段階で段取り良く黒マルチで準備をしていたのが裏目に出たのか、暑くて枯れた気もするし、早くから黒マルチをしたからモグラの性格空間になってしまったのか、、、。
とにかく晴れが続いた日はくる日もくる日もポンプで潅水をしていました。(そしたらある日ポンプが壊れました。)それでなんとか生き残らせる感じで、枯れたのも結構ありました。
苗作りも良くなかったんでしょう。心配なので水ばかりやって甘やかしすぎたんだとは思います。
あとは、、、
必死に収穫量上げにいこうとして裏目に出たバージョンです。
ミニトマトは管理が追いついておらず、暴れまくっていた脇目を慌てて切り落としたら、翌日から付いていた実が割れる割れる。。葉っぱ落としすぎたのですね。
ちょうどその頃ポンプも調子悪くて水やりもストップしていたで、余計に株の中での水分調整がうまくいかなかったようで。
結果的に収穫量だいぶ落ちました。
次はハウスに植えたきゅうり。
青枯れで早々に枯れた万願寺のスペースに、植えたきゅうり。万願寺はナス科できゅうりはウリ科だから影響はないはず、という考えで、同じハウスに植えたのです。
結果的にきゅうり自体はまだ生きているのですが。そのきゅうりに水を送ってやろうとハウス内に水路から水を流し込んだら、その手間にいたまだ生き残っていたパプリカ、万願寺が全枯れしました。たぶん土壌の水の流れで青枯れ菌が蔓延したのか、ただの根腐れか。。
一体何をやってるのか。。
こんな感じで、失敗に次ぐ失敗で、大変申し訳ないのですが発送便は新規の受付を一旦止めさせてもらっております。
発送の定期便も品数が揃わないのでお休みに入らせてもらう予定です。
市内でのお届けはかなり少ない種類でのお届けになるかと思います。
9月は端境期ではあるのですが、ここでお休みをするのはここしばらくはなかったのですが、大変申し訳ないです。
出来るだけ早くに再開をするために、葉物をかなり多く播きました。なんとかそれを収穫まで無事に育てて、お届けができるように頑張ります。
いやぁ、書いていて本当にひどいですね。色々申し訳ない。
ただ、今年たしかに労働時間を減らしに掛かってはいるのですが、例年に比べてサボっているようや感覚はあまりなくて、いつも通りに植えていつも通りの管理でやっていたはずなのですがこの様です。
でもそのわずかな時間の積み重ねが作物の異変に気付いたり、対処をしたりして、それが結果の大きな違いになるのかもしれないですね。
そのあたりを怠ったのと、そもそも気付けなかったのと。
気候は確かに例年以上に農家泣かせではありましたが、それを踏まえてどう管理するかが腕の見せ所なんだと思います。その点で言うと、本当に栽培のレベルが低いなと痛感させられました。
多品目でしているから、どうしても各作物の管理を満足いくレベルにするのは難しいのですが、それにしてもひどい結果です。これが今年だけ変な気候やったからで片付けられたらまだマシですが、たぶんおかしな気候はこれからずっとですよね。
だとしたら、それに対応できる栽培のレベルまで上げていかなければいけません。
どちららかと言うと販売とかの方を優先して農業をしてきたので、この厳しい気候で生産面での実力が浮き彫りになったように思います。
気候のせいにしてたら農家なんてやっていけないので。
でも、それでもやっぱり18時には終わりたいのです。(秋冬はどちらにしても暗くなるから比較的仕事量は減るのですが)
本当は暗くなるまで目一杯やった方が作物の出来は良くなるのですが、僕(1号・夫)としては今はやはり家族との時間を最優先にしたいのが本音です。
そのへんのさじ加減を自分で出来るのが農業の良いところなので、長い人生の中でまだ3号が幼い期間くらいは、 仕事<家庭 で行きたいなとは思うのです。結果として今年みたいなボロボロの出来だったとしても。
いや、ほんまは人生全部、仕事<家庭 で行きたいです。笑
この優先度をベースにして、どれだけ栽培レベルを高めていけるかが、これからの仕事の方向性になりそうです。
僕は最近、全部筋トレと一緒じゃないかと思うようにしていて、今年はそういう意味で 仕事<家庭というバランスで農業をするという筋力がまだ全然なんだろうなと。筋トレと同じで、厳しいけど負荷かけたらその分だけ筋肉がついてくるばすだと思っています。
ワースライフバランス筋で略してWLB筋と名付けましょう!おぉなんかプロレス団体みたい!笑
とまぁ、そんな感じで筋トレをしていた夏でした。作物がどんどんダメになっていくのは精神的にもなかなか厳しいので、夏なので普通に忙しいのもあって、ただひたすら、この毎日早く過ぎ去れ!と思う事も多かったです。
秋が来て、散々な夏野菜を見なくて良い時期になるまで耐えるという感じです。
まぁ筋トレなので、そんなもんですよね。
筋肉は裏切らない!
毎日暑いですね。連日、最高気温にビックリです。
でもお盆を過ぎて黒田では朝晩秋の気配を感じるようになり、1日の中で夏と秋が行ったり来たりしています。
この間、夫も農園日誌に書いていたのですが、この春から夏にかけてのあらい農園は猿のことで頭がいっぱいでした。
私にとってここまでの獣害の被害はほぼ初めて。今までハウスは獣害の心配もないし、虫の被害もマシで、私にとってとても安心感があるところでした。そのためビニールを破って猿が入ってくるなんて、考えてもいなくて、どうやっても守れない…と絶望でした。お客さんにお届けできない…というショックがとても大きかったです。
そして食べたものをハウスのビニールの上に投げ捨てていたり、食べ方がまた腹が立つのです。私が横のハウスで作業していても全く気にもとめずにトウモロコシを食べていたり。見つけて追いかけてか行くのですが、山の方へ行って、そこからこちらを見てきます。爆竹を投げても届かず。猿もそれをわかっていて、余裕綽々です。そして私たちが帰るのを山から見て待っているのです。帰ったら猿がハウスに入ってトウモロコシを食べに来るのがわかっていながら、目の前にいるのに、何にもできない、もどかしいのと悔しいのと無力さを痛感させられました。野生動物にはやっぱり敵わないなぁ…というのが私の率直な感想です。
そんな猿との闘いが続いて、夫婦の会話も娘のことか猿のこと。
私は捕まえる=殺すということになるので、どうにか棲み分けができればいいなぁと思います。こうして山から降りてくるのもきっと大元は人間のせいじゃないかと思ったり。夫は捕まえて復讐したいと言っていましたが、そんな気持ちで命を奪ってもいいのだろうか、できれば夫の罠にはかかって欲しくないなぁと思っていました。
これまでお世話をしてきた時間や気持ちが無駄になってしまったことは、私はあまり気になりませんでした。猿のせいだけでなく、台風や暑さや自分たちの失敗などなど、今までしてきたことはなんだったんや!ということはよく起こって、それに対して慣れてしまったのか…。とうもろこしをお届けできないことでお客さんにはご迷惑をおかけしていて申し訳ないのですが、私にとってはとうもろこしの分の売上がない、くらい。だからか、捕まえて復讐したいとは思わなくて、棲み分けができればいいなと思いました。
一発、爆竹が当たって、(爆竹は当てたい!と思って投げています。これは復讐心かも…?)人里が怖いところになって、山の奥で生活しておいてくれたら。時々食べに来ることはあっても、少しだけ食べて、お客さんに届けられる分は残しておいてくれたら。そんな聞き分けのいい、人に都合の良い猿になってくれたら。
でもそれはすごい理想論で、本当にそれを実現するにはきっと、とてつもない時間と労力とお金を使わないといけなくて、何よりまずどうすればいいか考えないといけなくて。そんなことをしているうちにトウモロコシは食べ尽くされて、次はトマト、パプリカ、冬のブロッコリーやキャベツ…と被害がどんどん出てくるだけです。となると、捕まえるしかないような気がするのですが、それを認めたくない自分がいました。どうにかして捕まえて被害を食い止めたい、と必死の夫の思いに共感できず、険悪なムードになることも…。
でも夫と話していると、猿はダメで、ゴキブリはよくて、蚊はよくて、ネズミは…と生き物の命に勝手に優劣をつけている自分に気づかされました。生きている中で、お肉も食べるし魚も食べるし、蚊もパチンとするし、どこかで線引きしているのですが、それを突きつけられたような。食べる(生活する)と考えた時に、食するではなくても生活する上で必要な殺生もあるのか…?とか。
そして一番せこいのですが、もし今、誰かが捕まえて、もうこれ以上被害が出ないとなったら、私は喜ぶと思います。自分の見えないところで知らないうちに終わってくれていたら。それこそが私の一番の願いなのかもしれません。お肉も毎回自分で屠殺してお肉にして食べないといけないとなったら、もしかしたら簡単には食べなくなるかもしれません。(一頭の鹿を仕留めたら結構な量のお肉になるのですが…!)誰かが見えないところで屠殺してくれて、精肉してくれて、パックに入っているから、私は気軽に買って食べられるのだと思いました。そんな自分の汚いところが見えて、嫌になったのですが、それでもまだ捕まえるのをよしとできず、棲み分けが…と理想を言いたくなります。だからと言って人任せにしていては、どうにもならないし…とぐるぐる回って答えも出ず、結局日々の生活の中で思考停止です。山間部で農業をしていく中で獣との関わりはきっとなくならないし、頭の片隅ででもぐるぐると考え続けなければいけないなぁと思います。
と、言っていたら、少し前に役所の方々が大きな檻のような罠をしかけてくださいました。それ以降、なんと被害が出ていません!警戒して今は来ていないようです。根本的な解決にはなっていないのですが、ひとまずとうもろこしが収穫できました!嬉しい…!こうなるとまた、見えないところで知らないうちにことが終わって、まぁいっか~という精神が出てしまいそうです…。