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農薬を使わないで栽培する事について

2016年12月01日(木) 考えごと

農薬を使わないで、野菜を栽培する方法や、どんな苦労があるのかという事を書いてみようと思います!

農薬には、虫などに効果のある殺虫剤と、病気へ効果のある殺菌剤、雑草を生やさないための除草剤、あとよく使われるのは、ホルモン処理剤というものです。

ホルモン処理剤は、有名なもので「トマトトーン」という名前のものがあります。これはトマトだけに限らずに主にハウス栽培の果菜類、きゅうり、茄子なんかにも使われています。果菜類が実をつけるにはまず、雄しべの花粉が雌しべに受粉して果実が大きくなるのですが、そのためには花が風で揺れたり、ハチなどの虫が花を飛び回ったりして受粉することが必要になります。

これをハウスなどの虫が入ってこれない状況で、確実に受粉させるためにホルモン処理剤を花に吹きかけて、人工的に着果させたりします。

ハウスの中にミツバチを飼って、受粉を促す場合もありますが、ホルモン処理剤はハウス栽培では結構使われている農薬です。
馴染みのない種類の農薬ですが、農家にはよく知られた農薬です。

これは、無農薬の場合は、ハチなどをハウスで放つか、花を手で揺らして受粉させたりします。あらい農園では、トマトなんかは手で揺らしています。

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いきなり、ホルモン処理剤の話から入ってしまったので、農薬を使わないで代わりにしている事をかいていきます。

次は、殺虫剤に代わる虫対策について。

あらい農園では、まずは防虫ネットを被せて、物理的に蝶や蛾を寄せ付けないようにしています!蝶や蛾は直接葉を食べるのではなく、そこに卵を産み付けて、そこから孵った幼虫が食い荒らします。一つのかたまりで何十個も卵が孵化するので、もうその周囲は大変な事になってしまいます。。

なので、まずは物理的に寄せ付けないことが第一です!

たまに元から土の中にいた幼虫とかが現れるのですが、あまり数も多くないのでそこは目をつむっています。

また、防虫ネットは結構丈夫なので、一度買えば長い事使えるのですが、100mあたり1万円くらいするので、大量に買うには結構勇気がいるものです。

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でも本当に必需品なので、あらい農園でも少し前に思い切ってたくさん買いました!

防虫ネットは背の低い野菜、主に葉物野菜や、大きくなる野菜のまだ小さい頃にはトンネルのように被せて使えるのですが、きゅうりや茄子、トマト、他にもかぼちゃなど、ばぁ〜っと広がる野菜には使えなくなります。

そこはどうするかと言うと、もう単純に健康で強い身体を作るという事じゃないかと思っています。

これは病気対策でもそうなんですが、野菜も人間と一緒で、健康で栄養がバランスよく取れていれば、ある程度の病気には自ら打ち勝って、負けないのではないかと思っています!

病気は、例えば作物間の植える間隔を広めにとる等の工夫もありますが(通気性を確保するため)、無農薬の場合は、掛かってしまうとどうしようもなくなる事も多いのです。

農薬を使用する慣行栽培では、殺菌剤は予防的に散布する場合と、病気発症の際に対処的に使用する場合とがあります。

 

少し話が逸れますが、肥料の中の主要要素である「窒素」と虫の発生との間に、関係性があると言われています。

窒素肥料は簡単に言うと、「葉肥」と言われる事もあるように、葉っぱや茎などの植物の成長の上では最も必要な成分です。
そして、例えばほうれん草などで葉色を濃くしようとする時にはこの窒素肥料を濃くしたら、葉色も濃くなって、商品としての見栄えがよくなります。(味は関係なく、ウケがいいと言う意味です)。

この窒素肥料が、濃ければ濃いほど、虫が大好きな成分を作物が発するとの事で、窒素肥料を与えすぎると、虫食いもひどくなります。経験としてそう感じます。
あと、濃ければ濃いほど、葉物はめちゃくちゃ苦くなります。。
品種の差もあるので、なんとも言えませんが経験として。。

 

この肥料の濃さについて今年の秋に収穫していた小松菜、こかぶですごく実感した事がありました。この2種類は、アブラナ科と呼ばれる作物で、キャベツ・白菜などの仲間で、とにかく無農薬で無防備にすると、見るも無残に食い荒らされる代表作物です。

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いつもは最初に肥料を入れてから種を蒔くのですが、今回は全く肥料を入れずに種を蒔いて、ある程度大きくなってから追肥をするように栽培しました。

そしたら、小さい頃の一番守ってやるべき弱い時でも、防虫ネットもしていないのに、ほとんど虫に食われていませんでした!
それから、ある程度大きくなってから追肥をする時には、気候も涼しくなってきて、虫自体の数も少なくなっていたので、そのまま元気に大きくなってくれました。

これは、話ではよく聞いていた事を、実体験で経験できたとても貴重な事でした。

「無肥料だと虫に食われない」とよく聞くやつでした。

あらい農園では、肥料は使いますが、この経験はこれからも無農薬で栽培する上でも今後べースになりそうな経験でした。
話を戻すと、つまり窒素肥料に限らずですが、作物の栄養バランスが崩れて、それが農業経営上で必要だとしても、そうして自然の状態から離れればその分だけ、作物は虫や病気に対しては弱くなるんじゃないかと思っています。

そう考えると、無肥料栽培は目指すところではあるのですが、そうなると今度は収量等の問題で、経営が成り立つかというと、ますます難しくなる気がしています。

 

どんどん脱線して申し訳ないのですが。。

要するに、いかに健康な作物を作るかという、単純でいて最も難しい事を目指しています!という事です。
たぶん、それができる農家さんは、無農薬でもきれいで元気で美味しい野菜が作れる達人の域なんじゃないかと思っています。

 

最後に、除草剤を使わないで草をどうしていくかという話です。

これが、あらい農園にとっては毎年の課題です。

まず除草剤には、草を枯らすタイプと、そもそも発芽を抑制させるタイプとがあります。それを使わない農業では、畦道や畑の周囲などの場所は、とにかく草刈機などで刈って刈って刈りまくるのみです!

春から秋までは、本当に草刈りと農作業が半々くらいの勢いで、草を刈りまわっています。地域によっては、あぜ道は草刈りしかダメな地域もあります。田舎はだいたいそうです。理由は除草で草の根っこまで枯れると、畦の土がもろくなって畦自体が崩れてしまうからです。

草刈りはまぁ農業をする上では、仕方ないとして、あとは作物を育てる場所での草をいかにするかが大きな問題です。
色々な考え方があって、雑草も上手く活かせば野菜にとっても良い環境になり得るのですが、あらい農園では基本は「雑草は発芽させない!したとしても、小さいひょろひょろのうちに削り取る!」という気持ちでいます。

例えば、作物の植わっている畝と畝の間の通路には、防草シートを敷いて、そもそも草が生えないようにしています。これも防虫ネット並みに高いのですが、それでも毎度毎度草を刈ったり鍬で削ったりする時間と労力を考えると、やっぱり必要だと思っています。

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また、作物の間の草は、まだ小さいうちなら根っこもしっかり張っていないので、鍬で削れば簡単に除草できますし、手でも簡単に抜けます。

なので、早め早めが肝心です。

と書きましたが、それができれば苦労はないという感じで、、これがなかなかできません。

というのも、だいたい草が元気にどんどん発芽して伸びてくるのは、4月から9月頃で、これは当然野菜ももりもり育って、農家は大忙しです。

やる事が山積みの中で、ついつい「また今度でも大丈夫かな」と後回しにしてしまい、気づいた時には、雑草がわんさか生えて大変な事になります。

その状態で除草するのは、小さいうちにやってしまうのに比べて数倍の体力と時間を費やします。
これがわかっているのに、他の仕事にも追われて、ついつい…というところが今のあらい農園の実力です・・・。

 

除草剤があれば、シャーっとかけといたら後はほぼ生えてきません。
就農当初は使っていましたが、今思うと本当にラクです。。

草は一番の問題ですが、生やさない事、大きくさせない事が大事です。それを怠ると後で何倍もの仕事が待っています。そこをいかに他の農作業との兼ね合いで、うまく段取りを組めて、気合いで実行できるかが、夏場の農業のカギですね!

わかりにくかったかもしれませんが、農薬を使わない場合のだいたいの対処法を書いてみました。やり方はそれぞれで、無農薬でも色々工夫してもっと簡単にきれいに野菜を栽培されている農家さんもたくさんいます。

でも今のあらい農園の現状はこんな感じで、悪戦苦闘しながらやっています。。

でも年々よくなっているとは思うので、こんな感じでちょっとずつ頑張ってまいります。

ちなみに草引きは、とても好きな作業の一つです。

今はただ追われているから、草引きも猛スピードでやりますが。
(近所の方からは、「機械みたいに休まず動くなぁ。50超えたら身体潰れるぞぉ」と言われています)

でも、ゆっくりのんびりする草引きは、本当にいいです。

特に気持ちの面ですごく良いと思います。
色んな事を考えられますし、精神衛生上いいんじゃないかと思っています。

僕も、まだ農地が小さくて、野菜も少ない分、時間には余裕があった時は、草引きしながら作戦を練ってしました。今のあらい農園の基礎は、きっと草引きしながら考えた時間があったからではないでしょうか。

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無農薬という事について

2016年11月24日(木) 考えごと

あらい農園では、無農薬で野菜を栽培しています!

…とよく言うのですが、この「無農薬」という言葉は農業をする上では結構気を遣う言葉だったりします。

何が気を遣うのかと言いますと、一つは法律上での無農薬という言葉の問題です。

実は「無農薬」という言葉は野菜を販売する際に簡単には使えない言葉なんです。
有機農業をする農家は、野菜を販売する際、お客さんに農薬を使っていないという事をアピールする事が多いのですが、そこで「無農薬」「有機」「オーガニック」などの言葉は実は簡単には使ってはいけないのです。

これは有機JAS法という法律で定められて、有機JAS認定を取得した農家だけが使用して良いのであって、そうでない農家はその有機JAS認定を受けていないから、公式には有機栽培とか無農薬とは認められていないのです。

なので、そうでない農家は野菜を販売をする時や、直売所などで野菜を販売する際は、例えばよくある表記として「栽培期間中、農薬不使用」などとするのです。

この有機JAS法は、賛否が分かれているようで、一応守ることは守るけど、たいしてJAS認定は重要じゃないという人もよく聞きます。
あらい農園では認定は取得していません。

理由は、特に必要と思ったことがないのと、どうやら書類の手続き等が大変らしいからです。
でも、一応これは法律らしいので、販売する際はちょっとだけ気を遣って怒られないようにしています。

という法律的なところでの、気の遣い方が1つです。

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2つ目は、この「無農薬」の捉え方が農家と、消費者とで結構違っているところです。

違うというのは、イメージです!

ずばり、無農薬は多くの農家にとっては迷惑な存在です。
もちろん全部じゃないですが、決して最初から好かれる存在ではありません。

反対に消費者からすると、無農薬は「良い」イメージが大半ではないでしょうか。
それは多くの場合、農薬は身体に悪いというイメージから来ているものだと思います。

なぜ、同業の農家にとって迷惑な存在かと言いますと、これは僕が偉そうに言えることでは全然ないのですが、恥を承知で言いますと、草をボーボーに生やしてしまう事がよくあるからです。…だと思います。。

きっと、無農薬でも草をボーボーにぜずに、きっちりと管理ができていればだいたいの場合は問題はありません。
でも、無農薬での栽培にとって、草は何よりも頭を悩ませる問題なので難しいところです。

なぜ草をボーボーにしてはいけないかと言いますと。
僕が思うところでは。

・雑草が大きくなって種を落とすと、また何倍もの雑草が翌年に発芽してくる。
・虫の住処になって、そこから野菜を食べにくる。(あらい農園でも、コオロギの住処を作ってしまい、苗を容赦なく食い荒らされました…)
・景観が損なわれる。(雑草が全くないのも味気ないのですが、生い繁ってるのも綺麗なものではありません…)

などではないでしょうか。

田畑が、すぐ隣り合わせにある農業では、草を生やすことは周囲の迷惑になってしまいます。なので、草をボーボーにしてしまう事は、何よりもしてはいけません!

そして、これを残念ながらしてしまうのが無農薬の農家だったりします。
僕もこれは全然できておらず、毎年猛省しています。
本当に、草の問題は何よりも気をつけなければいけません…!

 

という事で、「無農薬」というのは、場面や場所によって結構気を遣って使用する言葉だったりするのです。

 

長くなりました。。

また次回は無農薬についての栽培面での事を書きたいなと思います。