今年も早いもので、間も無く終わろうとしております。
本年も1年間ありがとうございました。
相変わらず、たくさんご迷惑をお掛けしてしまいましたが、なんとか無事に1年間農業をしながら生活する事ができました。
今年はこれまでで一番働いた一年でしたので、こうして年末になってようやく少し、振り返る時間を持つことができました。
慌ただしい中で、つい、日頃あらい農園の野菜を買って頂いている事や、温かく応援をして下さっている皆さんのお気持ちを忘れてしまい、期待に応えることができなかったり、時にはガッカリした気持ちにさせてしまったことも多々あったのではないかと思います。
特に、野菜BOXを定期便でご注文頂いている皆さんは、1年の中で何度かは、満足できない出来栄えのお野菜が届いてしまった事もあったかと思いますが、それでも温かくご支援頂き、本当にありがとうございます。
間も無く農業を始めて満5年になろうとしていますが、恥ずかしながらまだまだお客さんに甘えさせてもらっているなぁと感じることは、今年もよくありました。。
実はこの1年は、そういった「若い」とか「経験が浅い」とかの甘えをなくす1年にしようと思っていましたので、その点はまだまだ至らなかったなと反省しています。
2017年こそは、もっとお客さんにとって、本当に満足を感じていただける、野菜をお届けしていこうと思います。
でも、今年は反省ばかりではなく、良かった事も多いにありました。
あらい農園にとって、2016年は本当に成長ができた1年でした!
畑の近くに家をお借りして、京北に移住をしました。
4月からは夫婦で農業に乗り組んでまいりました。
地域の方々から、手を差し伸べて頂き、農業を目一杯頑張れる環境を作って頂けました。(ハウスや農地の紹介、トラクターや、使わなくなった農機などを譲って頂けました。)
そんなありがたい環境の中で、経営的にもかなり楽になりました。
相変わらず無理をしてはいたものの、しっかりと農業と向き合え環境が整った事で、野菜の栽培も、多少はレベルアップができました。
お客さんにも恵まれ、また新しくご紹介を頂けたりと、去年の今頃とは全く違うあらい農園に成長がする事ができました!
来年はこの今の経営をベースに、これまでの規模拡大や販路拡大よりも、もっともっと野菜をしっかりと作り、今のお客さんにもっと喜んでもらえるように、農業をやっていこうと思います。
全部の野菜BOXが自信満々でお届けできるように。
あらい農園の野菜を頼んできて良かったと思って頂けるように、しっかり栽培のレベルを上げていきたいと思っております。
最後に、自戒の意味も込めて、、
今年はありがたい事に、テレビなどでご紹介をしていただける機会に恵まれて、その放送をご覧頂き、野菜をご注文頂いた事もすごく大きな出来事でした。
でも、その事が自分にとっての慢心になっていた部分があったと、今となってようやく気付いてきました。。
自分としては、今年に至るまでの4年間を思うと、放送された事がラッキーだったとしても「辛い思いもいっぱいあったから、その分が報われたんだ」と思って、それがいつしか「運が良かった」のではなくて、「実力」みたいに思っていたなぁと思います。
これは勘違いです。
評価できるのは、ホームページをしっかり作り込もう!と決断をして、良い会社や友人にお願いをした、という選択は正しかったという事で。
テレビの話など、他にも良い話は結局のところ全てホームページを見て連絡を頂いています。
だから、農家としての実力はまだまだ全然だという事をしっかりと自分で理解していかなければなりません。
そうでないと、野菜作りに関しても、お客さんに対しても、地域の方にも、友人にも、間違った接し方をしてしまうんじゃないかと思いますので。
正直に言うと、今年までは背伸びをしてでも、よく見せていこうという裏の方針もあったりして、自分の足りない所に目をつむってきた事も結構ありました。(儲かってるフリをして高級車に乗っていれば、信用が増して仕事が増える!みたいな感じです)
2017年は、そういった背伸びはやめて、もっと泥臭く、一生懸命になって栽培に目を向けていこうと思います。
どうぞ、よろしくお願い致します。
農薬を使わないで、野菜を栽培する方法や、どんな苦労があるのかという事を書いてみようと思います!
農薬には、虫などに効果のある殺虫剤と、病気へ効果のある殺菌剤、雑草を生やさないための除草剤、あとよく使われるのは、ホルモン処理剤というものです。
ホルモン処理剤は、有名なもので「トマトトーン」という名前のものがあります。これはトマトだけに限らずに主にハウス栽培の果菜類、きゅうり、茄子なんかにも使われています。果菜類が実をつけるにはまず、雄しべの花粉が雌しべに受粉して果実が大きくなるのですが、そのためには花が風で揺れたり、ハチなどの虫が花を飛び回ったりして受粉することが必要になります。
これをハウスなどの虫が入ってこれない状況で、確実に受粉させるためにホルモン処理剤を花に吹きかけて、人工的に着果させたりします。
ハウスの中にミツバチを飼って、受粉を促す場合もありますが、ホルモン処理剤はハウス栽培では結構使われている農薬です。
馴染みのない種類の農薬ですが、農家にはよく知られた農薬です。
これは、無農薬の場合は、ハチなどをハウスで放つか、花を手で揺らして受粉させたりします。あらい農園では、トマトなんかは手で揺らしています。
いきなり、ホルモン処理剤の話から入ってしまったので、農薬を使わないで代わりにしている事をかいていきます。
次は、殺虫剤に代わる虫対策について。
あらい農園では、まずは防虫ネットを被せて、物理的に蝶や蛾を寄せ付けないようにしています!蝶や蛾は直接葉を食べるのではなく、そこに卵を産み付けて、そこから孵った幼虫が食い荒らします。一つのかたまりで何十個も卵が孵化するので、もうその周囲は大変な事になってしまいます。。
なので、まずは物理的に寄せ付けないことが第一です!
たまに元から土の中にいた幼虫とかが現れるのですが、あまり数も多くないのでそこは目をつむっています。
また、防虫ネットは結構丈夫なので、一度買えば長い事使えるのですが、100mあたり1万円くらいするので、大量に買うには結構勇気がいるものです。
でも本当に必需品なので、あらい農園でも少し前に思い切ってたくさん買いました!
防虫ネットは背の低い野菜、主に葉物野菜や、大きくなる野菜のまだ小さい頃にはトンネルのように被せて使えるのですが、きゅうりや茄子、トマト、他にもかぼちゃなど、ばぁ〜っと広がる野菜には使えなくなります。
そこはどうするかと言うと、もう単純に健康で強い身体を作るという事じゃないかと思っています。
これは病気対策でもそうなんですが、野菜も人間と一緒で、健康で栄養がバランスよく取れていれば、ある程度の病気には自ら打ち勝って、負けないのではないかと思っています!
病気は、例えば作物間の植える間隔を広めにとる等の工夫もありますが(通気性を確保するため)、無農薬の場合は、掛かってしまうとどうしようもなくなる事も多いのです。
農薬を使用する慣行栽培では、殺菌剤は予防的に散布する場合と、病気発症の際に対処的に使用する場合とがあります。
少し話が逸れますが、肥料の中の主要要素である「窒素」と虫の発生との間に、関係性があると言われています。
窒素肥料は簡単に言うと、「葉肥」と言われる事もあるように、葉っぱや茎などの植物の成長の上では最も必要な成分です。
そして、例えばほうれん草などで葉色を濃くしようとする時にはこの窒素肥料を濃くしたら、葉色も濃くなって、商品としての見栄えがよくなります。(味は関係なく、ウケがいいと言う意味です)。
この窒素肥料が、濃ければ濃いほど、虫が大好きな成分を作物が発するとの事で、窒素肥料を与えすぎると、虫食いもひどくなります。経験としてそう感じます。
あと、濃ければ濃いほど、葉物はめちゃくちゃ苦くなります。。
品種の差もあるので、なんとも言えませんが経験として。。
この肥料の濃さについて今年の秋に収穫していた小松菜、こかぶですごく実感した事がありました。この2種類は、アブラナ科と呼ばれる作物で、キャベツ・白菜などの仲間で、とにかく無農薬で無防備にすると、見るも無残に食い荒らされる代表作物です。
いつもは最初に肥料を入れてから種を蒔くのですが、今回は全く肥料を入れずに種を蒔いて、ある程度大きくなってから追肥をするように栽培しました。
そしたら、小さい頃の一番守ってやるべき弱い時でも、防虫ネットもしていないのに、ほとんど虫に食われていませんでした!
それから、ある程度大きくなってから追肥をする時には、気候も涼しくなってきて、虫自体の数も少なくなっていたので、そのまま元気に大きくなってくれました。
これは、話ではよく聞いていた事を、実体験で経験できたとても貴重な事でした。
「無肥料だと虫に食われない」とよく聞くやつでした。
あらい農園では、肥料は使いますが、この経験はこれからも無農薬で栽培する上でも今後べースになりそうな経験でした。
話を戻すと、つまり窒素肥料に限らずですが、作物の栄養バランスが崩れて、それが農業経営上で必要だとしても、そうして自然の状態から離れればその分だけ、作物は虫や病気に対しては弱くなるんじゃないかと思っています。
そう考えると、無肥料栽培は目指すところではあるのですが、そうなると今度は収量等の問題で、経営が成り立つかというと、ますます難しくなる気がしています。
どんどん脱線して申し訳ないのですが。。
要するに、いかに健康な作物を作るかという、単純でいて最も難しい事を目指しています!という事です。
たぶん、それができる農家さんは、無農薬でもきれいで元気で美味しい野菜が作れる達人の域なんじゃないかと思っています。
最後に、除草剤を使わないで草をどうしていくかという話です。
これが、あらい農園にとっては毎年の課題です。
まず除草剤には、草を枯らすタイプと、そもそも発芽を抑制させるタイプとがあります。それを使わない農業では、畦道や畑の周囲などの場所は、とにかく草刈機などで刈って刈って刈りまくるのみです!
春から秋までは、本当に草刈りと農作業が半々くらいの勢いで、草を刈りまわっています。地域によっては、あぜ道は草刈りしかダメな地域もあります。田舎はだいたいそうです。理由は除草で草の根っこまで枯れると、畦の土がもろくなって畦自体が崩れてしまうからです。
草刈りはまぁ農業をする上では、仕方ないとして、あとは作物を育てる場所での草をいかにするかが大きな問題です。
色々な考え方があって、雑草も上手く活かせば野菜にとっても良い環境になり得るのですが、あらい農園では基本は「雑草は発芽させない!したとしても、小さいひょろひょろのうちに削り取る!」という気持ちでいます。
例えば、作物の植わっている畝と畝の間の通路には、防草シートを敷いて、そもそも草が生えないようにしています。これも防虫ネット並みに高いのですが、それでも毎度毎度草を刈ったり鍬で削ったりする時間と労力を考えると、やっぱり必要だと思っています。
また、作物の間の草は、まだ小さいうちなら根っこもしっかり張っていないので、鍬で削れば簡単に除草できますし、手でも簡単に抜けます。
なので、早め早めが肝心です。
と書きましたが、それができれば苦労はないという感じで、、これがなかなかできません。
というのも、だいたい草が元気にどんどん発芽して伸びてくるのは、4月から9月頃で、これは当然野菜ももりもり育って、農家は大忙しです。
やる事が山積みの中で、ついつい「また今度でも大丈夫かな」と後回しにしてしまい、気づいた時には、雑草がわんさか生えて大変な事になります。
その状態で除草するのは、小さいうちにやってしまうのに比べて数倍の体力と時間を費やします。
これがわかっているのに、他の仕事にも追われて、ついつい…というところが今のあらい農園の実力です・・・。
除草剤があれば、シャーっとかけといたら後はほぼ生えてきません。
就農当初は使っていましたが、今思うと本当にラクです。。
草は一番の問題ですが、生やさない事、大きくさせない事が大事です。それを怠ると後で何倍もの仕事が待っています。そこをいかに他の農作業との兼ね合いで、うまく段取りを組めて、気合いで実行できるかが、夏場の農業のカギですね!
わかりにくかったかもしれませんが、農薬を使わない場合のだいたいの対処法を書いてみました。やり方はそれぞれで、無農薬でも色々工夫してもっと簡単にきれいに野菜を栽培されている農家さんもたくさんいます。
でも今のあらい農園の現状はこんな感じで、悪戦苦闘しながらやっています。。
でも年々よくなっているとは思うので、こんな感じでちょっとずつ頑張ってまいります。
ちなみに草引きは、とても好きな作業の一つです。
今はただ追われているから、草引きも猛スピードでやりますが。
(近所の方からは、「機械みたいに休まず動くなぁ。50超えたら身体潰れるぞぉ」と言われています)
でも、ゆっくりのんびりする草引きは、本当にいいです。
特に気持ちの面ですごく良いと思います。
色んな事を考えられますし、精神衛生上いいんじゃないかと思っています。
僕も、まだ農地が小さくて、野菜も少ない分、時間には余裕があった時は、草引きしながら作戦を練ってしました。今のあらい農園の基礎は、きっと草引きしながら考えた時間があったからではないでしょうか。